山ちゃん谷ちゃんだべるだけ

ゴリ・夢☆CHU♡

テーマその1 宿題

 やっほ。私は山野めぐみ。高校生。対面に座っているのは谷原早苗。同級生。ファミレスでおしゃべりするのだけが私たちのお楽しみ。せっかくだからみんなにも見せたげる。

 あ、ナレーションはもうないよ。ではどうぞ。


 ☆☆☆


「谷ちゃん、宿題やった?数学の」


「やった。でも山ちゃんには見せたげない」


「そんな!私は谷ちゃんのこと親友だって思ってたのに!」


「ああ、泣かないで山ちゃん。せっかくの別嬪さんが台無しだよ」


「ぐすん。じゃあ見してくれる?」


「やだ」


「けちー」


「あのね、山ちゃん。これからはデジタルの時代だよ。デジタルってのはそれ即ち数字なわけよ。こんな宿題もできないようじゃ、きたるAI新時代、愚かな人間代表として血祭りにあげられちゃうわ。あたし親友がそんな目に遭うの見たくないの。だから私は心を鬼にして、宿題は自分でやりなさいとこう言っている訳なのよ」


「谷ちゃん……!まさか私のこと、そんなに考えてくれてたなんて……!」


「愛する山ちゃんのためだもの。山ちゃんのためなら私は神にも悪魔にもなるよ」


「ああ、谷ちゃん……!私のちっさなハートがきゅんきゅんしてるよ」


「そうでしょうそうでしょう。あたしったら自分のハンサミティが怖いわ」


「ハンサミティ?」


「ハンサムの名詞形。英語までできないなんて、山ちゃんったらおばかさん」


「おばかさん……」


「ほら、四の五の言わずに宿題しなさいな。あたしジュース取ってくるから」


 ☆☆☆


「コーラうんまぁ」


「ねえねえ谷ちゃん」


「なんだい山ちゃん」


「この問題わかんないんだけど」


「やっぱり山ちゃんったらおばかさん。どれ、谷ちゃんに見せてごらんよ」


「ほら、問38の二次関数のさぁ、エックスの係数がさあ……」


「……」


「谷ちゃん解けた?」


「解いたよ、もちろん。宿題終わってんだもん」


「じゃあ教えてよ」


「……」


「谷ちゃん?」


「……人類にはね、模範解答って言うのがあんのよ」


「谷ちゃん、あんたまさか……」


「宿題は解くものでなく片付けるものだよ山ちゃん。そのためなら私は使えるものはなんだって使うよ」


「きゃー。悪い子だね、谷ちゃんったら。極悪非道とはまさにこのことだ」


「ふっふっふ。ようやく気付いたのかいこの山ちゃんめ。そうさ、あたしは悪の秘密結社ショッカーの人間女さまなのさ」


「いやぁー。助けて仮面ライダー!」


「ライダーは来ないさ。なぜってこのあたしがぶっ飛ばしてやったからね」


「果たしてそれは本当かな?」


「なにぃ?」


「仮面ライダー幻の3号、山野めぐみ参上!」


「げげぇ、ライダー!あのときぶっ飛ばしたはずじゃなかったのかい!」


「はっはっは。正義は必ず勝つのだよ」


「くっそぉー……」


「……」


「仮面ライダーって3号いないの?」


「映画には出てなかったよ」


「あっそう」

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