第28話 弟子(1)
「
俺はそう言って、再び彼女の手を取った。
そして、目前まで来ていた猫カフェの店の前まで移動する。
外観は白と黒が基調で、落ち着いた
住宅街であることを考慮してか、建物自体に高さはない。
なので、周辺の建物と比べて、取り分け目立つ様子もなかった。
正面にある両開きの扉がなければ「大きめの家だ」と言っても通用しそうだ。
まあ、猫に対する活動内容は知って欲しいが――
(大勢の人に来られても対応できないので困る……)
といった所だろうか? 保護猫カフェはボランティアの側面が強い。
殺処分や
カフェの営業よりも、行政(保健所や動物愛護センターなど)から猫を引き取って、飼育を希望する人たちへ譲渡することが、活動としては優先されるのだろう。
そのためには希望者にも、猫の
店員にはカフェとしての接客術よりも、猫に対する専門知識が求められるのだろう。また、地域猫活動を
猫カフェというよりは、情報収集と提供の場としての存在意義が強い。
最近では認知度が高まったのか「ペットショップでは購入しない」という人も増えているようだ。
まあ、ペットショップの現状や問題点を知っていれば――
(そうなるか……)
高まるペット需要で
多頭飼育の崩壊など、保護を必要とする猫も多い。
そもそも野良猫自体、無責任な飼い主によって捨てられた猫が
(それでも……)
飼い主が不妊や去勢手術をしていなかった事は問題である。
当然、不妊去勢手術については賛否両論あるだろう。
しかし、現代において猫の場合「不妊去勢手術をして、完全室内飼い」が基本だ。
農家や牧場ならまだしも、都市化が進み、住宅事情は変化してしまった。
以前は放し飼いが普通だったが、猫は一度、屋外へ出てしまうと「
また、不妊去勢手術をすることで「病気の予防や発情に
結果として、猫の寿命も延びるそうだ。
確かに人間の場合も、去勢された「
男性が40代後半から50代前半で亡くなることが多かった時代において、70歳まで生きたらしい。猫を家族の一員として考えるのなら――
(適切な飼育を心掛けて欲しい所だ……)
もっと具体的な例を挙げるのであれば、猫の場合、殺処分よりも交通事故で亡くなる方が死因としては多い。それも1月から3月に集中している。
時期的に「発情が原因だ」とみて良さそうだ。
発情期のメスのフェロモンは「2Km先まで届く」と聞く。
なので、未手術のオスは「メスを探して遠出をする」というワケだ。
当然、不妊去勢手術をすることで、そのリスクを減らすことが出来る。
生殖機能がなければ、
確か、
(殺した場合は「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」だったか……)
カランコロン♪――とドアベルを鳴らし、俺たちは店内へと入る。
涼しいと言うよりは、快適といった温度と湿度の設定だ。
暑い中、歩いてきた俺からすると物足りない。
汗が引くには、もう少し時間が掛かるだろう。
内装は木の
しかし、受付カウンターの
そのため「商魂
まあ、本格的なカフェで
(こっちで稼ぐ方が手も掛からないだろうし、猫のためにもなるか……)
マスター
「お久し振りです」
と軽く
同時に手洗いと消毒も済ませる。
衛生面や猫の健康のため、靴下は必須だ。
ストッキングやタイツの場合は、靴下を持参して重ね
俺たちは靴を脱ぎ、スリッパへと履き替えた。
今回、綺華へは伝えていないのだが「今日はお客で来た」というよりも、ちょっとした頼まれ事があった。
まずはそちらを優先する必要がある。当然【呪い】に関係する内容なのだが――
(まあ、
状況を見て、必要があれば説明することにしよう。
「
俺の問いに対して、受付のお姉さんは「今来ると思います」と答えた。
数少ない男手という事で、力仕事でも頼まれているのだろう。
一方で綺華は、俺が口にした人物の名前を聞いた途端、表情が不機嫌になる。
犬飼に対し、綺華はいい感情を持っていないようだ。
春先に起こった「猫
(完全に誤解というワケではないからな……)
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ฅ•ω•ฅにぁ? 「猫まっしぐら」なら
聞いたことはありますが「猫真っ二つ」
とは? 怖い事件があったようですが、
それはまた別のお話です。
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