042.祖母の夢

中学生のときに、一緒に住んでたおばあちゃんが死んでさ。


俺、おばあちゃん子だったから哀しくて……。


……恥ずかしいんだけど、小学校高学年くらいまで一緒の布団で寝たりしてたんだよね。


ひとりだと眠れない夜もさ、おばあちゃんと一緒だとスッと眠れて。


何なんだろうな。たぶん、あの優しい香りなのかな。


ほら、昔のおばあちゃん──昔のって変だけど、うちらが子供の頃のおばあちゃんってさ、線香とか化粧品とかの香りなのかなぁ、何か優しい香りしたじゃん?


あの香りが、好きだったんだよね。


そんで、おばあちゃん亡くなってから、俺、不眠症になっちゃって。ヤバイよね。いや、本当に好きだったんだよ。おばあちゃんが。


そしたら親が心配してさ、おばあちゃんの掛け布団を使ったらどうかって提案してくれて。なるほど、その手があったか、と。


で、試してみたらさ、よく眠れたんだよね。やっぱり、おばあちゃんの香りがしてさ、落ち着いて……。


それからしばらくしたある日、布団を干したんだよ。自分でさ。最近はあんまり布団干すとき叩かないみたいだけど、昔はけっこう強くバンバン叩いたじゃん? その時も布団叩きもってバンバン叩いたんだけど……。


布団からさ、何か、飛び出してきて。

硬いものがさ、布を突き破って。

「やべっ」って思って、慌てて部屋に引き上げて。


触って確認してみたらさ──、


骨なんだよ。


──いや、掛けて寝てるときは全然気づかなかったんだよ。綿の中に埋もれてたみたいでさ。


それで焦って母親に報告したのよ。


そしたらさ、当たり前みたいな顔してさ、


「ああ、それおばあちゃんの骨よ。やだ、出てきちゃったの?」


って。


なんか、俺がよく眠れるように、おまじないみたいな感覚で入れたらしいんだけど……。


それ以降は自分の布団で寝るようにしたよ。さすがにね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る