027.どんぐり

 ちょっとさ、怖いことあって。


 俺、ちょっとやそっとじゃビビんないじゃん?


 でもまじやべーってなって。


 少し前からさ、起きたらどんぐり握ってんのよ。


 そう、どんぐり。


 いや、笑うなし。


 部屋にどんぐりとかないし。


 うちマンションだし。


 でもさ、毎朝よ。


 起きるとどんぐり握ってんの。


 キモくない?


 だからさ、こないだ徹夜してみたんよ。


 そしたら、まあ何も起きなかったわけ。


 で、良かったーって寝たら。


 持ってんの。どんぐり。


 だから、寝たフリしてみたのね、昨日。


 したらさ、夜中に、誰か部屋に入ってきて。


 それがうちのババアでさ。


 俺が寝てるの確認してから、


 手にどんぐり持たせようとすんの。


 ちらっと顔見たらさ、めっちゃ無表情で。こわ


 ──いやお前。そうやって笑うけどさ。


 リアルはヤバかったって。あの顔。


 俺、ゾッとしちゃって。


 でも、逆にね、聞いてみたのよ。


 何してんの、って。


 そしたらさ、


 あんた、どんぐり好きだったから、って。


 ──いや、ガキの頃ね。


 ガキはみんな好きっしょ、どんぐり。


 だからさ「別にもう好きじゃねえし」って言ったの。


 そしたら「そう」ってひとこと言って、


 部屋から出てったんよ。


 俺、思ったよね。


 ババア、ついにイカれたんじゃね? って。


 身内がキ◯ガイとかさあ、なくね?


 怖いわー、マジで。



 **********



 って話、山本から聞いてさ。


 ──そう。山本。


 で、その翌日だよ。


 山本が、あいつの母ちゃんに刺されたの。


 この話ってさあ……。


 なんか、警察とか話した方が良いのかな?


 どう思う?

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