第13話 フレンド
フカセツテンさんと情報交換をし、ほとんどの人が耐性系のスキルと「感知」スキルを取るということを知った。「感知」スキルはそのスキルレベル以下の「隠密」スキルを使っている対象を発見することができるし、モンスターの捜索にも役に立つようだ。耐性系はそのまま耐久力につながるので前衛職はとりあえず取るようだ。なんでも、レベル1から2ではあまり変わらないが、持っているのと持っていないのとでは耐久力がかなり変わるらしい。
これらはあとで絶対に取ろうと固く決意した。今すぐは取れないよ?だってこの前使ったばかりだからポイントが無いもん。
「そうですか、そんなことが。にしてもレベル59、ですか………」
続いて私の話を聞かせたらそれはもう驚いていた。なんでも、今はレベルが20前後あれば十分トップ層らしいのだ。まあだからどうということもない。せいぜい私のテンションと自己肯定感が限りなく上昇し、にやけ面が自制できなくなっただけだ。些細な問題である。
「あ、あの、どうかしましたか?」
フカセツさんにそう声をかけられてハッとする。そういえば今は人がいるんだった。プレイヤーと一緒にいることなどほとんどないから失念してしまっていた。そうなってくると、あれだ………恥ずかしいな。だがしかし!私は現在最強のプレイヤー(推定)!こんなことでは動じはしないのだ。
「ああ、ごめん。ちょっとね」
「?はあ、そうですか。ならいいですが。あ、そうだ!アヤさん、フレンド登録しませんか?」
このゲームフレンド機能あったのかよ。一瞬そう思ったが、冷静に考えて無い方がおかしいかという考えになり、ウィンドウをざっと見てそれらしき項目を見つける。
「うん、構わないよ。これからよろしく!」
「はい、よろしくお願いします」
『フカセツテンとフレンドになった!』
「あ、そうだ!よければこれから少し一緒に狩りさせてもらってもいいですか?アヤさんは「感知」スキルを持っていないようですし、私と一緒の方が効率が上がるかもしれませんよ?もちろん、私も少しばかりおこぼれは頂きますが」
プレイヤーからの初めての共闘のお誘いである。断る選択肢などもちろん無いので二つ返事で了承するが、よくよく考えてみれば自分で走り回ってもフカセツさんの足に合わせて「感知」で探し回ってもあまり変わらないような気がしてきた。
「さて、どうし………ん?」
そこで現在プレイヤー最強(推定)たる私の脳にひらめきが走る。私は突如自分に舞い降りた天啓に従うようにフカセツさんに近づき、フカセツさんを抱き上げた、お姫様抱っこで。
「ふぇぁあああ!?!?」
フカセツさんが声を上げて抵抗するが、私のSTRには勝てない。
「ど、どうしたんですか急に!?」
「いや、このまま私が走り回るから、フカセツさんの感知に引っかかったら教えてよ。止まるからさ」
「いやいやいや、それにしてもこれは………」
少々顔を赤くしながら狼狽えるフカセツさんに私の素晴らしい作戦を伝えてあげる。
「私はAGIとSTRを重点的に鍛えているから、フカセツさん一人持ってるくらいじゃ機動力はそんなに落ちないよ?安心して?」
「だからそうではなく………うぅ………」
なんだろうこれは。もしやフカセツさんは何考えてるかわかりにくい敬語お姉さんキャラではなくうぶなお姉さんキャラなのだろうか?だとすれば結構な萌えポイントをプレゼントしてもいいのだが。
「も、もういいです。そうですね。これが効率が良いのでしたらこれで行きましょう。さっそく出発しましょう!!」
お、諦めた?なかなかに順応が早いな。それとも私のプレイヤー最強な作戦に感銘を受けて自らの考えを訂正し、私の作戦が最高なものであると認めたのかな?
いや、何を考えているんだ私は。少々酷いな………あまり調子に乗らないようにしよう。内心こっそり反省しつつ駆け出す私なのだった。なお、フカセツさんを抱えたまま隠密を使っても私にしか効果がないから普通にモンスターにはバレるということを知ったのは別の話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます