第15話
義妹 過去編
お兄ちゃんはどんな時でも優しかった。
私達姉妹が引き取られて優しく迎え入れてくれた。
そもそも、私達が引き取って貰えるのもお兄ちゃんのお陰らしい。
お姉ちゃんの命も救ってくれたようだ。
お兄ちゃんは私の憧れになっていた。
お兄ちゃんはどうやら馬鹿らしく学校では虐められてボッチのようだ。でも私にはお兄ちゃんのそんな姿は想像出来なかった。
ある日からお兄ちゃんは勉強をいつも以上に頑張るようになった。
そして、私はそんなお兄ちゃんに勉強を教えて貰おうと思った。
「お兄ちゃん!勉強教えてよ」
頭良くなりたいとは思ってなかったが、ただ頑張るお兄ちゃんの姿を見て、私も一緒に頑張りたいなと思った。
「ここなんだけど」
「えっと、そこはね・・・えっとね」
お兄ちゃんは私の年の問題が解けなかった。
でも憧れなのは変わらない、どんなに馬鹿でも私にはいつも
「妹は天才で頭良くて可愛いくていいな」
お兄ちゃんは褒めれてくれる。いつも褒めてくれる。
だが、いつまでもそう思って居られなかった。
お兄ちゃんは本当に勉強が出来なく、学校で有名になるほどだった。私の耳に何度も届いた。
だが、そんなことはどうでもよく、
「お兄ちゃん、今日はテストどうだった」
「赤点だった。」
「えっ、じゃあ出掛ける約束は」
「ごめんね。」
お兄ちゃんは勉強に取り憑かれたいた。
私はもう痛いほど悲しい程知っている。お兄ちゃんは誰よりも頑張ってけど、それでも出来ない。
私は勉強の出来ない兄でいい。だから私ともっと一緒にいて欲しかった。
そして、私は初めて兄の努力を否定した。
「お兄ちゃん、そんな勉強しても出来ないじゃん、だからそんな無視して遊びに行こうよ」
「・・・っ、そうだね。でもやるだけやらないと」
「意味ないじゃん!!いつも頑張って、頑張って赤点じゃん、テストも10点超えたら良い方で」
「・・・そうだね。馬鹿な兄貴でごめんね。」
その時、どんなに低い点数を取っても、どんなに馬鹿にされても、どんなに虐められても見せなかったお兄ちゃんの絶望した顔から見て分かった。ずっと苦しんでいることに。
「ずっと俺のせいで悪口言われてたよね。ごめんね。俺が馬鹿だからごめんね。」
ずっとお兄ちゃんは知っていた。ずっと馬鹿なことを気にして、
馬鹿なくせに
「馬鹿なくせに!!そんなことに気を使ってるんじゃないよ!」
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