第13話

 「勇者は馬鹿だからね」「勇者は馬鹿だけど優しい人だよね」「馬鹿兄貴」「馬鹿な弟のままでいて」「馬鹿で良いんだよ」



 「はぁ、はぁ」

俺はどうやら、夢を見て居たようだ。

 まだ朝の3時


  たまに、こんな夢を見る。


 俺は馬鹿であることは変わらない、寧ろみんなそのことを心配してくれているんだ。俺はそれを素直に受け止めるべきだ。


 俺には、馬鹿なままで受け入れてくれる優しい人達が居るんだ。


 だから俺は馬鹿なままでいい。


 俺は頑張ったよ。勉強だって今まで頑張ってきた。新しい就職先も決まってる。だからこのままで良いんだ。


 寝よう、寝よう。


 「少しくらいは馬鹿って言うのやめてくれても良いのに」


いや、そんなことはない。俺は馬鹿だ。何をやっても駄目なんだか


 「努力して頑張れた。」


だけど、報われてない。


  「頑張る力はあった。」


 だけど、落ちた。良いんだこのままで、本当にそれで良いんだ。


 俺はもう一度睡眠に入る。



ーーーーーーーーーーー 


 「お前、勇者って言うんだろ?」


  「勇者様!!勇者様!!」



 俺は昔その名前のせいで虐めれられた。いや名前だけじゃない。


 「馬鹿勇者」「アホ勇者」「知能ステータス0」



俺はずっとそう言われていた。


ーーーーーー


 「お母さん、お父さん、俺は勇者って名前嫌だよ。・・・いた」

俺はお父さんに叩かれた。


 「痛いよ、お父さん」


「お前がふざけたことを言うからだ」


「そうよ、今のは流石に勇者が悪いよ、私とお父さんはね、勇者に勇気を持てる、優しい人に育って欲しいの」


「勇気を持てる優しい人??」


「そうよ、私たちはね。本気でね、勇者が人々を変えるそんな人になれるって信じてるの」


 当時の俺は、その自分の名前の壮大な由来に驚いた。


 けど俺は同時に思った。

 何を変えるんだろう。あと勇気って何に使うんだろう?


 俺はずっと不思議に思っていた。


ーーーーーーーーー


 目が覚める。


 懐かしい夢を見た。

 高校生になった馬鹿な俺では今だに理解出来てない。


 俺はその答えを探し続けている。


 だけど、たまに思う。本当はそんなの無いのではと


 「ノリと勢いでつけてそうだよな」


そんなことはない。優しいお父さんとお母さんだから、適当につける訳ないがない。


 そんな訳がない、そんな訳

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