第7話

「お兄ちゃん、知ってたよね」


監禁されて、身動きが取れない俺の体に抱きしめている。


「何が?」


「私がとっくに虫嫌いを克服していたこと」


「・・・やっぱりそうだったんだ」


「気付いてたんだね・・・つまり私の気持ちにも」


「えっ、あ・・・いやその」


「気付いてたんでしょ。私が無視を嫌いな振りをしてお兄ちゃんに抱きついてこと」


「うん」


「でも、どうしてそんなことをするのかも」


「いや、そこまでは・・・」


気付いてた。気付かない振りをしていた。それがこうなってしまった。


「お兄ちゃんさ、前に言ったよね」


「何を?」


「私が将来上手く行かなくて、家に引きこもって別に良いって」


「・・・言ったね」


「むしろ、そっちの方が長く一緒に居られるし、正直俺は嬉しいって」


「うん」


「それ、私も思ってたんだよ。働かないでお兄ちゃんとずっと一緒に居たいって」


「・・・っ、」


「だからね、お兄ちゃん。このまま一緒に居てね。」

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