第2章

第1話『夏はイベントが多い』

 


 7月、初旬しょじゅん

 太陽が燦々さんさんかがやき、気温も上がり、あつくなる。

 ひまわりやダリアなどの花々が咲き、草木も生き生きとしている今日このごろ。


 

 俺、八雲空音(やぐも そらね)は自室じしつで『ノートパソコン型グリモワール』である『パソグリ』でネット検索けんさくをしていた。


 部屋内は冷房れいぼうが、かかっているので、すずしい。

 

 学校からダンジョンによらず、真っ直ぐ帰ってきた。

 

 水の精霊『ウンディーネ』のウネちゃんと忠義ちゅうぎ守護光聖竜しゅごこうせいりゅう『セイラ・シュバイナー』のセイラは『キャラトピア』で遊びに行った。

 

 蒼炎そうえんノ悪魔『サラ・D・ブルフレイム』のサラは俺のそばものをしている。


 暴食ぼうしょく暗黒王女あんこくおうじょスライム『ビナ・ヴァイム』のビナは台所でおやつでも食べているだろう。

 

 しょっちゅう、ダンジョンにもぐっている俺達としては、たまには休むのもアリだなと思い、今日はこうやって、のんびりしている。


「夏というは、かなりイベントが多い。学校では、魔導競技まどうきょうぎコアブレイク大会。外部では全日本ギルド対抗戦大会や、全日本冒険者大会が開かれる」


「へぇ~、そうなの」


 ビナは編み物をしながら、俺の話を聞いていた。


 腰まである長い蒼髪に黒髪も混ざっている。髪を2カ所、三つ編みにしている。青いワンピースの中に豊満なお胸。雪のように白い腕、手。それに長い脚が見える。正直、目のやり場に困る。

 サラの年齢ねんれいはわからないが、外見は大学生くらいに見える。


「『キャラトピア』では夏のイベント、キャラトピア夏のお宝探し大会2024とキャラトピア夏祭り2024が開催される」


「ああ、この前『キャラトピア』に潜ったわね」


「そうそう。異世界ファンタジーみたいゲームの世界だよ」


「また、もぐってもいい?」


「もちろんだよ」


 そして、俺は続きを話す。


「大きな国際大会では魔導オリンピックも開催される。全日本ギルド対抗戦大会は、ギルドに所属していないので参加はできない。全日本冒険者大会には多くの、Sランク冒険者やSSランクの冒険者が多く参戦するだろう。今の俺ではボコボコにされるだろう。なので、参加はしない」


 サラは編み物を止め、顔を上げる。


「空音は強いと思うわ。魔導オリンピックと全日本冒険者大会に出場したら、すごく良い結果が出せると思うけど?」


「いや! C級冒険者の俺じゃ、大して結果は出せない!」


「そうかしら?」


「まあ、これらのイベントって、アドミン様の使徒様しとさま主催しゅさいしているので、霊宝石れいほうせきや賞金など、かなりおいしい。参加賞もあるので、参加するだけも価値があるわけだが。魔導オリンピックは魔導テレビで観戦かんせんだな」


「ずいぶん、弱気よわきね」



「サラと魔導契約まどうけいやくをすれば、強くなれるのにな~」

「それは……」

 サラはかたまる。

 なぜか、サラは俺と魔導契約をしようとしない。

 なぜだろう?



 まあ、キャラのレア所持ランキングでは、俺は日本一である。

 それでも、俺より強い冒険者は当然、いると思う。


「そうなると、うちの学校の魔導競技コアブレイク大会とキャラトピアの夏イベントを頑張るべきだよな」


「空音が参加するなら協力するわ」


「ありがとう」


 サラと話していると、誰かがノックし、部屋に入ってきた。


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