第30話『試験の結果は?』


 彼は手始めに、3発のウォータバレット(水弾Ⅰ)を放つ。

 俺はウォーターシールド(水の盾Ⅱ)で防ぐ。


無詠唱むえいしょうかよ!!」


 彼はかなり驚いている様子だ。

 無理もない、無詠唱は上級者でも難しいスキルだ。

 そこそこ、才能さいのうがある人でも無詠唱でスキルを発動はつどうしても、指に小さな火をつけるのがやっとなのだ。

 無詠唱で、有詠唱レベルのウォーターシールドを展開てんかいできるのは、ガチで才能がある人。

 なぜ、俺にできるかって?

 水の精霊ウンディーネであるウネちゃんと出会ってから、ずっと使ってたからな。無詠唱でウォーターシールド(水の盾Ⅱ)を展開できる。


「だったら、これでどうだ」


 20発の水弾を放ってきた。

 俺は無詠唱でウォーターシールド(水の盾Ⅱ)を発動し、ふせぐ。


「素晴らしい、ウォーターシールドだ!」

 彼は笑顔で拍手はくしゅし、俺をめる。


 そろそろ、俺から行くか。


「《ウォータバレット(水弾Ⅱ)》」

「!」


 50発に及ぶ、水弾を彼に浴びせる。彼は無詠唱でロックシールド(石の盾Ⅱ)で防ぐ。


「50発の水弾か。命中度も高いし、球一つ一つの破壊力はある」

 50発じゃダメか。


「《ウォータバレット(水弾Ⅱ)》」

 150発の水弾を浴びせる。


「!!」


 だが、彼はロックシールド(石の盾Ⅲ)で防ぐ。


「すごいね! だけど芸がないよ!」


 だったら――


「《ドラゴンホーリーレイン(聖なる竜の雨Ⅰ)》」

「えッ??」


 光に包まれた、たくさんのドラゴン達が彼に向かって、降り注ぐ。

 ドラゴンが落ちてくる、光の雨。


「うあああああぁぁ――――――!!!」


 ドドドドドドドドドドド――――――――ッッ!!!

 

 すさまじい竜の雨だ。

 

 本会場の土俵には、たくさんのクレーターができた。

 

 男性がいない。


「ヤバい、やりすぎたか!!」

 もしかして、殺してしまったか!?

 俺はあわてて、彼を探した。


 土俵どひょうの外に彼はいた。

 腕がボロボロだが、回復していく。

 魔導術の再生さいせい発動はつどうし、彼をやしている。


「南条さん!!」


「んッ……おれは、生きてる……のか?」

「南条さん、無事ですか!?」


「……ああ……君は……受験者の……八雲くん……だね?」

「そうです!」


 彼は上半身じょうはんしんだけ起き上がり。

 俺の方を向く。


「まさか、ドラゴンホーリーレインを扱えるとはね。ぼくの負け。君の勝利だ」


「南条さん……」


 彼は笑顔になり、俺のかたつかむ。


「君は合格だ。おめでとう!」


「はい、ありがとうございます!」


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