14 安心の行動

「…ご飯食べる?」


僕は明日香の胸に包まれていた。


「うん?…」

「ごはん。…お腹減ってないの?」

「ちょっと減った。」

「作るから。ちょっとまってて。」


僕はぼーっとテレビを見ていたら、いつの間にかソファで寝てしまっていた。



「一輝、出来たよ。」


返事が無いので明日香が様子を見に来た。


「寝てる…。…あとでもいいか。」

明日香は僕の隣でテレビを見ていた。


一時間程して目が覚めた。


「明日香…。明日香…。明日香??…」

僕は座ってぼーっとしてると明日香が僕の顔を支えた。


「いるよ。あたし、ここ。見えてる?」


僕は目を左右に動かしていた。


「こーこ。」


明日香が指を2本出してピントを合わせてくる。


「…いたぁ。」


僕はそう言うとまた明日香の胸で寝始めた。


「まだ寝るの?お腹は?」

「減った。」

「食べるよ。」

「はーい…。」

「……。」


僕が微笑みながら明日香を見ると、


「……これはダメだわ。」

「ん?…」

「こっちがやられる。。」


そう呟いて僕を抱きしめた。


「明日香ぁ。」

「なに?」

「……どこも行かないで。」

「大丈夫。行かない。大丈夫よ。」



―――――――――僕は少しづつ目を覚まして、明日香と夕飯を食べた。


その後、風呂に入った。この人と風呂に入るのは初めて。


「そこ座って。」

「うん。」

「頭出して。」


「いや、いや、いや、いや、俺自分で洗う。洗える!大丈夫!」

「いいから。」

「ダメだって…。」

「いいから。やらせて。」


僕は床に座って明日香は椅子に座った。


シャワーをかけて軽く洗った後、シャンプーをつけて泡立ててくれた。


「えぇ…やべぇ、気持ちいい。」

「でしょ?あたし、美容師だったから。」

「マジで?」

「そう。」


「あれか。これ使って男落としてたのか。」

「このままあがる?シャンプー落としてないけど。」


「ごめんなさい!落として!」

「ろくでもないこと言うから。」

「ごめんなさい。」


「男の髪洗ったことなんてない。洗ってもらったことも無い。」

「じゃあ俺洗ってあげる。」

「お願いしようかな?」



その後、体も洗ってくれた。


「…そこは…いいですよ?」

「洗うなんて言ってない。」

「……俺も明日香の頭と体洗ってあげたい。」

「いいよ。…それで?ここはどうするの?」


「自分でします。…ちょっと後ろ向いていい?大人しくさせるから。」

「なに出そうとしてんの。」


少しおどけていうと明日香が吹き出して笑う。


その後、明日香の頭と体を洗って浴槽にもう一度入った。


この間、一切お互いの直接的な物には触れてない。



「明日香…」

「うん?」

「結構綺麗なんだな。」

「胸?」

「そう。」

「あんまり好きじゃない。小さいから。」

「誰基準?俺は好きだよ?大きい小さいより綺麗な方がいい。……量より質?」

「なんかそれ嬉しい。」


泡風呂の中で明日香の体を撫でてた。


「変なとこ触んないでよ。」

「それいいやつ?」

「だめ。」

「俺のはもう、軽く一突きで星散らせそう。」

「散らさなくていい。邪魔。当たってるし。」

「…そういや、気になんないの?」

「何が?剃ってること。」

「嫌なんでしょ?」

「そう。」

「想定内。どうせあんたの事だからそこら辺に爪痕だの噛み跡だのつけて欲しいんでしょ?」

「……なんでわかんの?」

「…あたしが付けたいから。」

「……嘘じゃない?」

「これは私の趣味。たまたま歯車があっただけの話。」


「他にもいたの?」

「ここまで重症な奴はいない。」

「大丈夫?気持ち悪くない?」

「逆に聞くけど、後ろ使いたいとか、覚えさせたいって思う女は気持ち悪い?」


「実は俺さぁ…」

「男とあるの?」

「一回だけ。入れたりしてないけど。」

「宮田君でしょ?」

「うん。」

「何が嫌だったの?」

「違う。嫌とかじゃなくて、あの人自体に興味なくて、妬きもしなかった。」

「それなら女の体がいい?」


僕は…明日香の手を取って、泡のついた指を自分の口に入れた。


「泡、美味しくないよ?」

僕のおかしな行動に明日香が笑う。


「…俺ね、この指と爪がよかった。この指一本で俺、安心できた。」


「何度も言うけど私は好きなことをしてただけ。今もそう。私はしたいことしてる。」

「俺の後ろじゃなくて前に座ってるのも?」

「そう。全部そう。それにあんたが喜んでるだけの話。」

「嘘じゃない?隠してない?」

「あのね、そんなことした所であんたは見抜くでしょ?そんなめんどくさいことしない。」


「………うわぁ、お湯飲んじゃった。」

「大丈夫?なにやってんの。」


明日香の首の後ろにキスしようとしたら勢い余っておゆをのんでしまった。


「キスしたかった。うなじ綺麗だったから。」

「変な事考えてるからそうなるの。」

「仕方ないじゃん。綺麗なんだもん。」



――――――――――――風呂から上がったあと、明日香が用意してくれたパジャマを着た。


「……」

「嫌だった?」

「違う。着心地いい。」


説明しづらいけど着やすくて肌触りのいいものだった。


「下着もそれでいいでしょ?」

「はい。…なんで知ってんの?」

「覚えてないの?会社の飲み会の時にあたしと話

してたの。」

「全然。」

「そりゃね。ずっと千聖見てたから?」

「ごめん。」

「終わったことでしょ?」

「うん。」

「ここにいるからもうそれでいい。」



―――――――――――――――地下。


僕は壁に付いた手枷と足枷を付けられた。

そして…


僕の頬をあの人差し指の爪で撫でながらゆっくり降りて来て、パジャマのボタンを一つ外した。


そしてまたあの日のように鎖骨の当たりを爪の先を押し付けながら撫でてきた。


……耐えきれず僕が情けない声を漏らすと、


「一輝これが欲しかったんだもんね。これが欲しくて戻ってきたんだもんね…。」

「……。」


「どうなの?」

優しかった声が一変して少し強い声になり、直後僕の頬を叩いた。


「欲しかった…欲しくて戻ってきました…。」


「そうだよね?…」


僕が答えるとまた優しい声に戻ってパジャマのボタンを全て外して、肌着の中に手を入れた。




―――――――――――――――数時間後…。


僕の体は明日香の痕でいっぱいになった。


ベットの中で僕の腕の中でまだ痕のないところを唾液のついた指の腹で撫でる…。


「……っ。」

「痛くないでしょ?ここ傷になってない。」

「痛くない。。そうじゃなくて…。」

「分かってる。」


明日香は僕の首元に口付けた。


「安心して?私は『普通』じゃない。こうやってあんたを包み込んであげられる。『普通の女』じゃ出来ないことをしてあげられる。」

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