N.C.010 AI正式運用開始
ついに議長AIが正式運用されることが発表された。
今までにも何度か仮運用は行われてきたが、開発に10年をかけてようやく実用化にこぎつけたことになる。
* * *
「ようやくこれでこの研究も終わりか……」
「はい、皆様お疲れさまでした。これでこの研究は終了し、この研究チームも解散となります」
この研究チームのリーダーを任されていたリチャードは、安堵の表情を浮かべていた。それもそのはず、一応法律に則った形で休暇は与えられていたが、最低限しか認められず、しかもその休暇もあってないようなレベルの激務だったのだ。
しかも、軟禁状態での生活だったため、ストレスも大きくなっていた。
「研究チームは解散するんだから、俺たちのことも解放してくれるんだよな?」
「はい、それはもちろん。ただし、その前に少しだけあなた方へお話をさせてください」
そうしてそいつ、政府のやつが話したことは要約するとこういうことだった。この研究に関することはどんな些細なことでも一切喋ってはいけないこと、このAIに関する権利は一切を政府が所有すること、そして、このAIはこれからも政府の手によって改良され続けるということだった。
前の二つは百歩譲って納得するとしよう。それでも、最後のやつはどうしても納得できない。チームのみんなも同じ感想を抱いたらしく、至る所から抗議の声が挙がっているが、『決定事項であり、覆ることはない。あなた達の仕事はこれで完全に終わったのです』という返事しかもらえない。
一向に埒が明かないので俺たちは諦めて、納得がいかない空気感の中それぞれの家に帰っていくのだった。
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