4
教室を出て、職員室前の廊下にたどり着くけど、彼女はもうそこにはいなかった。
「おお、
代わりに職員室の扉から、ポロシャツとジャージのズボンを着て髪を後ろで結んだ、担任の
「先生。さっきまで話してた、佐野さんはどこに?」
『明るいけど倉井先生』と自称し、『くらちゃん』と生徒たちに呼ばれる、まだ教師歴の浅い体育副担当の彼女は、きょとんとした顔をした。
「なんだ、お前、佐野の知り合いだったのか?」
やっぱり、D組の転校生とは、彼女のことだったのか。
「佐野なら、書類を取りに来てさっき帰ったけど? 体調が良くなってきたらしいから、そのうち――って、おい!」
僕は、倉井先生の言葉が終わらないうちに踵を返して階段を降りた。
正面玄関に着くと、風に揺れる制服の後ろ姿が遠く前方に見えた。僕は慌てて上履きからスニーカーに履き替えて、彼女のあとを追いかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます