山脈の向こう

山脈の向こうには何があるのか

誰も知らない、誰も見たことがない

ただ、そこに到達する道筋だけが存在する


しかし、その道を歩もうとする度に

足元の地面が崩れ落ちていく

夢は砕け散り、塵となって舞い上がる


山脈は動かない、ただそこにある

無言の巨人のように、私たちを見下ろす

その眼差しは冷たく、無関心だ


夢の欠片を集めようとしても

それらは指の隙間からこぼれ落ちる

あとに残るのは、虚無の痛みだけ


山脈の向こうへ……その思いだけが

この閉塞的な世界で唯一の慰めだった

しかし今や、それすらも失われつつある

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