第2話

昔々あるところに力こそが強さだとする

黒の国がありました


国を束ねる“黒の王”は圧倒的な力強さを持ち

支配者として人々に恐れられていたのです


敵対する“白の国”との争いは絶えず

傷も癒えぬままの兵士と共に力で対立します


しかし、黒の王は静かな夜更けの月明かりの下

血に染まった自分に恐怖していました


このまま染まっていけばやがては

自我を失った殺戮だけの不浄になってしまうと


黒の王は満月に願いました

この力で守れる真の存在意義が欲しいと


黒の王は涙しながら月へと飛び立っていきました


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