第100話 魚ー



 私は魚を大量に捕ってきた。

 ニサラキの街の食堂をかりることにした。


 私はエプロンを着けて厨房に付く。


「副王よ、飯の支度くらいわしがやりますぞ」


 ガンコジーさんがそう提案してくれた。


「ありがとうございます。ですが、やらせてください。美味しい魚料理を食べさせてあげたいのです」

「しかしのぅ……おぬしはここに至るまでいろんなことをし、疲れておるのではないか?」


「大丈夫です。皆さんがのほうがお疲れのようなので。私が作ります。作らせてください」


 ということで、私は一人厨房に立っている。

 魚をまな板の上に載せる。


「すぅう……はっ……!」


 私は包丁を手に取った。

 瞬間……ぱら……と魚のうろこがはがされ、刺身になっていた。


「よし」

「よしじゃねええええええええええええええええええええええ!」


 古竜さんが人間の姿で私にツッコミを入れてきた。


「え!? なに!? 今何したの!?」

「魚をさばいただけですが?」


「包丁を手に持っただけだったろ!?」

「? 一流の剣士は、刃を持つだけで、魚くらいさばけて当然ですよね?」


「さばけねえよ! どういう理屈だよ!?」

「闘気を……」

「やっぱり闘気かっ!」


 一流の剣士は剣を持つだけで、刃から闘気を発する。

 弱いものはその闘気にあてられただけで、死んでしまう。バラバラになってしまう。


「このような理屈です。簡単ですね」

「どこがじゃぁああああああああああああ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る