第5話「起・投影」
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ナイトスライムが意味深な言葉を発する。トランジスタ下の電光石火の早業の中で、その意図を初心者・ビギナーが理解するのは困難を極めた。
(何だ……?)
意味深な言葉に、ビルドは身構える。が、5体のナイトスライムは動こうとしない。何かを狙っている以上、下手にビルドは動けない。その判断は正しい……。
サキは正確にそのスキルを理解するが、ゴーストドラゴンが行く手を阻む!
「いけない! 今すぐナイトを叩いて! グ!」
「ゴーストトドン!」
「手遅れになる前に! ……コノオ!」
「ゴストドードン!」
ゴーストドラゴンの連撃を交わすが、凌ぐのがやっとなサキだった。
そうこう束の間、ビルドには情報が正確に行き届かなかった……。
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ナイトスライム×5体
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「な……スキルをコピーされた!?」
気付いたってもう手遅れだ。その絶望感と言ったら半端ない。ユニークスキルは奪えない。しかしビルドのユニークは戦闘では役に立たないので意味ない。ここで問題だったのはまず、秘匿の調べる系の対策はしていたが、コピーや強奪系の対策スキルを学習していなかった所に問題がある。失敗の原因は、サキが優しかったから。学習するだけで気づけなかった。「奪われる側」の立場に立って考えられなかったから対策を戦闘前に考えを練られなかった。
しくじったビルドは挽回を狙う方法を必至になって探す。
今度はナイトスライムがビルドににじり寄ってゆく……。
(スペック上、同じってことは。考えられる攻略方法はいくつか考えられる。①今から自分が急成長する。②同じスキルでもテクニックでナイトスライムを撃破する。③敵の弱点を探す……。④スキルを使わせまくってMP消費を誘う。こんな所か……)
①は、今から急成長するのは難しい、逆に模範されるだけだ。
②は、そもそも初心者のビルドにテクニックと呼べるほどの技は身についていない。
③は、弱点は動きが遅いぐらいだが、突破口になるか……。
④は、こっちの方が現実的だ、ただし時間が相当かかり長引くだろう。
(何にしても、今後奪われないためには鍵を付けて置くことと、奪い返すしか方法がないな……。あとはミラー対策って所か……)
ちなみにサキはミラーと呼ばれる相手が自分と同じ強さに成る場合の対策は持っている。ミラーシールドという盾装備とか。エボリューション・全で「攻撃が強すぎて跳ね返せない」とかだ。
《
《物拾いで〈
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しかし打開策が見つからない、せめて相手のスキル効果を無効か破壊するスキルさえあれば……。
と、そこへ……。メスガキ鼠のプレイヤーがひょっこりと現れる。
「呼んだ~?♀」
「呼んでねえよデストロイ!」
デストロイという名の足手まといがもう一人増えた。と思ったが……どうやら打開策があるらしい。
「しょうがないなあ~~♀ スキルぐらいは破壊してあげるから、バトルはちゃんとやるんだゾイ♀」
「ユニークスキル! 〈MAXデストロイLv1〉! この戦闘中! 全てのスキル・特性を! 破壊する! 敵も味方も巻き込む大爆発だーー!♀!♀」
〈MAXデストロイLv1〉デストロイのユニークスキル。この戦闘中、全てのスキル・特性を、破壊する。敵も味方も巻き込む大爆発。
どっかーん! 阿鼻叫喚な悲鳴伝が敵味方問わず響き渡った。
「そうか! 自分から失うスキルを〈
というかユニークの時点で転写出来ない。
上空からのサキから怒号が飛んでくる。
「ちょっとー! こっちにも飛び火したんですけどー!?」
お陰でタイプ、ゴースト・ドラゴンのゴーストドラゴンに攻撃が当たらなくなった。
飛べなくなったサキは天空から落っこちてきた。が、ヒーロー着地で難なく無事。
あとはテクニックオブ技術力オブ戦闘力でゴリ押すだけだ。
「そういや、ナイトスライムにゴーストドラゴンが憑いてる、だったわね?」
「? ああ。心眼ではそう写った。……てことは!」
シュン! シュン!
待ってても
サキは勇気を出して、ナイトスライム4体・ビルドは1体をタタタターン! と討伐し……終わった――。
否、討滅し終わった。鎖から解き放たれたように、ゴーストドラゴンは礼して。
天への道を登って行った。まるで天国への階段を上がるように……。
「ふう、何とかなったか、終わったから鍵付けとこっと」
「弱い人守りながら戦うって難しいね……」
「ケラケラケラ!♀」
《ナイトスライム達を倒した! レベルアップ!〈
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