月のない夜、私たちは逃げ出した
@sanma_love
第1話
雲で月が覆われ、一人で出歩くのが憚られるくらいの暗闇の中を一台の馬車が駆けていく。
簡素な造りの馬車の中にはその外観とは打って変わって豪奢なドレスに身を包んだ私と彼女が二人きり、不規則に揺れる馬車に向かい合って座っていた。
「終わりましたわね、すべて。」
目の前の彼女、リリが口を開いた。仕事をやりきったような清々しさを言葉に含ませながらこちらを見つめるその瞳は、もう夜も遅いというのに全く疲れを感じさせないほど爛々と輝いている。
そんな彼女とは正反対に心身共に気怠い疲れに包まれていた私はおしゃべりに付き合う気にはなれず、彼女の顔をぼんやりと眺めながら今日起きたことについて思い出していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます