逅島詩編

伊島糸雨

捜星季


星を見るための硝子を探す

河原に滲む空の冷気を 褪せた指先で転がしている

あるいは電車の揺れる橋の下で 陰の水際みぎわに座っている


闇を聴くための明かりを灯す

河辺に寄せる舟の軋みを 古びた櫂で囁いている

あるいは映画の漏れる光の淵で 最後の鐘を鳴らしている


綻びを縫う熾火の針を 暖炉の隅で温めながら

雪の最中の寝物語を 枕のそばに横たえるのは

あるいはいつか目にした星の軌跡を

今もずっと 憶えているから


夢を結うだけの祈りに眠る

ひとり見上げたそらの息吹を

今でもまだ 忘れられずに

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