【完結】追放者の回収者〜よわよわ転生者は仲間に守られたい~

@DDDmod3

第1話:プロローグ的なもの


君たちは異世界における追放というものをご存知だろうか。簡単にいえば所属しているグループから追い出すことだ。

近頃の創作物では弱いから、約立たずだから、気に食わないから、立場的な問題など様々な理由で追放されるという展開をよく見かける。

そして追放したヤツらを見返すためにハーレムを作ったり、最強になったりするのが定番だろう。君たちもそういったものを見た覚えがあるのではなかろうか。



さて、少し話を変わるがつい先程、哀れにもトラックにはねられて死んだ男がいた。

彼はなんと天使の手違いによって殺されてしまったらしい。とても可哀想だろう?

命が奪われて謝罪で済むはずがない。彼の命を奪ってしまった天使はそれ相応の責任を取らなければならない。

よくある展開だから察しの良い君たちならもう分かるだろう?そう、彼には異世界に転生するチャンスを与えられた。

今から語るのはそんな彼のお話。とても興味深い彼の冒険譚だ。


……えっ?さっき話した追放となんの関係があるのかだって?……それはこの先のお話を見れば分かるはずさ。



それではお話のはじまりはじまり



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はいはい皆さん、こんにちわ。

俺の名前は【三雲響みくもひびき

ついさっきまで立派な社会人してたんだけどね、なんか車に撥ねられたらしいんだわ。

よくある事故だし、運が悪かったで片付けることも出来た訳だが……目が覚めたら俺の目の前に土下座してる女の子がいてさ、その子になんでそんなことしてるのかって聞いたわけ。


そしたらなんて答えたと思う?


「大変申し訳ございません!私の不手際であなたを殺してしまいました!!!」ってさ。


詳しく聞いたらその子は天使らしく、上司である神様からブラック企業の社員並みにこき使われた結果、過労で意識混濁になって、うっかり俺の名前を死者のリストに書き込んだらしい。

それが原因で俺は死んじゃったんだって。

でもまぁ、仕事で疲れてなら仕方ないし、こんなに可愛い子が必死に謝ってるんだから許すのが男ってもんだろ?

ここは寛大な心で「仕方ないね」「そんなこともあるよ」みたいな優しくて温かい言葉を吐きかけてあげよう。


せーの


「ふざけてんのかぁああ!!」


「頭踏みつけないでくださいぃ!ごめんなさい!ごめんなさい!!!」


「人生勝手に終わらせて謝罪で済むなら警察いらねぇんだよ!お前何やってんだぁああああ!!」


大人でもさすがに限度ってものがある。死を手違いでプレゼントされたらさすがにキレるんだわ。やってる所業が天使どころか悪魔。


「…………チッ、それで?この後どうなんの?そっちの不手際だから生き返れたりすんの?」


「い、いや……その……1度死んだものは生き返らないのが世界のルールなので……」


「うんうん、確かにね。人って生き返らないもんね。でもさぁ、それだと納得できないんだわ。俺を殺した責任……取ってくれるかな?」


「せ、責任ですか!?……え、エッチなのはよくないですよっ!///」


「あ"ぁ?俺を殺したヤツに欲情なんてするかっ!この色欲まみれの変態天使がっ!」


「ひぃ!ごめんなさい!」


……はぁ、こんな奴に俺は人生は破壊されたのか。

最近、そこそこの給料が出る会社に就職して、上司や同僚にも恵まれて、可愛い同期の女の子とも仲良くなったのに……俺の人生ここからだったのに……


「はぁ……もういいよ。とりあえずどんな形でも良いから、俺が納得できるものを提示してよ。それが出来たら俺も甘んじて受け入れるから。」


さすがにこれ以上うだうだ言ってもどうにもならなさそうだしな。なら貰えるもんを根こそぎ貰う。


「……そ、それなら転生はどうでしょうか!」


「あ〜、転生ね。具体的にどういうの?」


「個人的には犬とか可愛くていいんじゃないかとイテデデデッ!!」


再度、彼女の頭を強く踏みつける。つま先でぐりぐりすると良い感じのダメージを与えられる。


「そんなんに賛同すると思ってんのか!バカがっ!人間舐めてんのか!」


「犬だけに?」


「やかましいわ!」


「……そ、それなら異世界に転生するプランとかどうでしょうか?」


「おっ、良いじゃん。そういうのだよ、そういうのを待ってたんだよ。」


ライトノベルとかでお馴染みの展開である異世界転生。魔法と剣の世界に送り込まれた主人公が無双チートで大活躍的なやつね。好きよそういうの。


「良かったです!それじゃあ、早速異世界に転生させますね。」


「うんうん…………ん?どういう世界とかの説明は?特典は?」


「それじゃあ2度目の生を楽しんでください!!」


「おいクソっ!?待っ……!」


急いで止めようとしたが時すでに遅し、突如床に穴が空き、そのまま抵抗できずに落下していくのであった。


……あの天使、次会ったら粉々にしてやる……

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