【女の事件】いらくさの家

佐伯達男

第1話

「何やってるのだよ!!(集団登校の)集合時間に遅れてしまうぞ!!ヨウスケ!!」

「おにーちゃん…待って…」


時は、2016年4月14日の朝7時20分頃であった。


場所は、横浜市西区東ヶ丘にある2階建ての一戸建ての家にて…


この家で暮らしている小松崎多香子(48歳・専業主婦)の長男・章介(10歳・小学5年生)は、ヨウスケ(6歳・小学1年生)の夜ふかしが寝坊したことを怒っていた。


集団登校の集合時間は、7時半である。


章介は、学校へ行く支度が極力遅いヨウスケにイラついた。


多香子は、章介に対して『おにいちゃんなんだから、ヨウスケを待ってあげて…』と繰り返して言うた。


多香子からあつかましい声で言われた章介は、より激しいイライラをつのらせた。


そうこうして行くうちに、集団登校の集合時間が5分前になった。


多香子は、支度が遅いヨウスケを呼びに部屋へ行った。


「ヨウスケ!!もうすぐ集合時間が来るわよ!!早くしなさい!!」


この時であった。


(フギャァァァァァァァァァ!!フギャァァァァァァァァァ!!)


ヨウスケがより強烈な叫び声をあげて泣き出した。


思い切りブチ切れた多香子は、バーンとドアを開けて部屋へ入った。


部屋に入った多香子は、章介を思い切り怒鳴りつけた。


「章介!!どうしてヨウスケを叩いたのよ!?」

「落ち度があるから叩いた!!ソウスケ(多香子と別居中のダンナの弟・重度の障がいがある)のセクハラが原因で生まれた子だから叩いた!!」

「章介!!」

「ふざけるなクソババア!!」


思い切りブチ切れた章介が部屋を出ようとしたので、多香子がゴウインに止めた。


「待ちなさい!!」

「どけよ!!」

「ヨウスケも一緒に連れて行きなさい!!」

「どけよ!!」

「ヨウスケは学校へ行きたがっているのよ!!」

「ヨウスケはうざいから置いていく!!」

「いけません!!ヨウスケを連れて行きなさい!!」


多香子が言うた言葉に対して思い切りブチ切れた章介は、ヨウスケの頭をランドセルで殴った。


同時に、多香子の足を右足でけとばした。


その後、家から出て行った。


「章介!!待ちなさい!!」


この時、1階の居間にいた多香子の妹の美香子(39歳)が『朝からやかましい!!』と言うてさけんだ。


美香子は、近くにあった湯のみを床に叩きつけた。


居間にいる母親(73歳)は、大パニックを起こした。


章介が家を出てから数分後であった。


ところ変わって、居間の食卓にて…


カンシャクを起した美香子は、湯のみを床に叩きつけたあと握りこぶしを作ってブルブルと震えていた。


見かねた母親は、居間にやって来た多香子に対してあつかましい声で言うた。


「多香子!!」

「なによ!!」

「もういいかげんにしてちょうだい!!」

「アタシはヨウスケを学校へ連れて行ってと章介に言うたのに言うことを聞かないから思い切り怒っているのよ!!」

「だからといって、朝から大声をあげないでよ!!また美香子がカンシャクを起こしたじゃないのよ!!」

「知らないわよ!!」


この時、母親の近くにいたヨウスケが『学校へ行きたい…』と言うてグスングスンと泣いていた。


多香子の母親は『学校へ行きたいよね…』と言うて、ヨウスケをなぐさめた。


そしたら多香子が、母親に対して父親が育ボスをしていることが気に入らないと言うて怒った。


「お母さん!!、おとーさんの育ボスをやめるように言うてよ!!」

「どうしておとーさんが育ボスをしていることにいちいち目くじらを立てるのよ〜」

「立てたくなるわよ!!育ボス育ボス育ボス育ボス育ボス…おとーさんが育ボスをしているから章介がすさんだのよ!!」

「おとーさんが部下の女性の娘さん(8歳・小学2年生)の学校の送り迎えをしているのは…おかーさんが海外出張中であることとおとーさんの(工場の)勤務形態がイレギュラーになっているから…」

「きれいごとばかり言わないでよ!!」


思い切りブチ切れた多香子は、居間にやって来た父親に対して八つ当たりした。


「おとーさん!!もう許さないわよ!!部下の女性(娘さんのおかあさん)にセクハラをしたことが原因であの娘のおかあさんを自殺に追い詰めたわね!!許さないわよ!!」


多香子は、近くにあったものを父親に投げつけた。


母親は、怒った声で多香子に言うた。


「なんでおとーさんに暴力をふるうのよ!?」

「やかましいわね!!おとーさんがセクハラ魔になった原因を作ったのはあんたでしょ!!」

「なんでひどいことを言うのよ!?」

「おかーさんがおとーさんに暴力をふるったことが原因でセクハラ魔になったのよ!!…なんなのよ一体!!ドサイアクだわ!!」


思い切りブチ切れた多香子は、台所へかけ込んだ。


多香子は、冷蔵庫の中から500ミリリットル缶のサントリープレミアムモルツを取り出した。


多香子は、缶のフタをあけてごくごくとのんだあと大きくため息をついた。


この日も、ヨウスケは学校へ行くことができなかった。


それから20分後であった。


多香子の父親は、部下の女性の8歳の娘さんを学校へ送り届けた。


その後、野毛中央通りにあるオフィスビルに入っている職場へ向かった。


多香子がまた実家へ出戻った…


美香子にオムコさんが来ないうえに、転職を繰り返している…


多香子と美香子は、わしらの老後を台無しにした…


父親は、全身をブルブルと震わせながらつぶやいた。


父親は、多香子と美香子が両親の思いにそむいたことに腹を立てていた。


この時、家庭は少しずつだが壊れ始めた。


ここより、恐ろしい悲劇の幕があがった。




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