美鈴、モテるのも大変みたいですね
「待って! なんでウチを無視して勝手に話を進めてるの? そもそも、ウチには好きな人がいる……そのことをドラバルトもファルスも知ってるよね」
喧嘩を始めたドラバルトとモドルグを美鈴は止めようとする。
因みにファルスは美鈴への感情に気づき喧嘩に加わらず考えていた。そう神である自分が、なぜ人間のような感情を抱くのかと思ったからである。
(何かが変だ。この感情が、そうだとしたら……いやそもそもオレは神だぞ。人間と同じように恋をする訳がない。好き嫌いを選ぶとすれば、人として……)
そう考えながら美鈴へ視線を向けた。
片やドラバルトとモドルグは取っ組み合いの喧嘩をしている。そのため美鈴の声が聞こえていなかった。
「ハァー……駄目だ。仕方ない能力を使って、やめさせるか」
そう言い美鈴は眼前に両手を翳す。すると、ステータス画面が現れる。その後、即座に全体と攻撃を選び、スロットをスタートさせた。
早くと思いながら美鈴は、スロットが止まるのを待っている。
その間にもドラバルトとモドルグの喧嘩は激しさを増してきていた。
そのため壁の至る所が破壊されている。
それをみて美鈴は、やきもきしていた。
するとスロットが停止して表示された文字は【能】である。
(どうしよう…………そうだね……この状況なら、これしかないか)
考えがまとまると美鈴は両手をドラバルトとモドルグに向けた。
《無能力っ!!》
そう言い放つとドラバルトとモドルグの全身が発光する。
その言葉を聞きドラバルトは、ハッとし自分の体の変化に気づいたためモドルグから離れた。
片やモドルグは、なんのことか分からずドラバルトのとった行動に対し首を傾げる。
そんな中ファルスとミィレインは、このあとどうなるのかとこの状況を見守っていた。
「ミスズ、なぜ俺にまで言霊を?」
「あのね! ドラバルトとモドルグが中々喧嘩をやめてくれなかったからでしょっ!!」
「言霊……それがミスズ様の能力なのですか?」
そう言われ美鈴は、コクッと頷く。
「無能力……と、いう事は……。俺には、関係ないな」
ドラバルトはそう言い手を組み、ポキポキと指を鳴らした。
「ま、待て……ドラバルト! 能力がないのに、お前とやり合って私が敵う訳がないだろ」
「そんなの知るかっ!?」
そう言い放ちドラバルトは、モドルグを殴ろうとする。
「ドラバルトっ、お座り!」
美鈴にそう言われて、ドラバルトは操られるかのように正座で床に座った。
それをみたファルスとミィレインとモドルグは、驚きドラバルトをみている。
「ウグッ……ミスズ、なぜ止めるのだ!」
「ドラバルト、ウチの取り合いをしてくれるのは嬉しいけど。知ってるよね? ウチには好きな人が居るって」
「ああ……そうだったな。そうか……じゃあ、ソイツも血祭りに」
それを聞き美鈴は、ゴンッとドラバルトの頭を殴った。
「いい加減、怒るよ!」
「ツウ……怒ると言いながら既に殴っているではないか」
そう言いながらドラバルトは頭を摩っている。因みに小さなタンコブができていた。
「そうですか……ミスズ様には好きな人が居るのですね。それなら確認次第、始末しませんと。それで、その方はどこに居られるのですか?」
「……いう訳ないでしょっ!」
「モドルグ、それはいい案だ。そうすれば……」
それを聞き美鈴の目に涙が浮かんでくる。
「グスンッ……いい加減にしてよ。そんなんで、ハイそうですかって好きになれる訳ない。それにさあ、もっと相手のことを考えてよね」
そう言い切ったあと美鈴は、ウワアァァーンっと大泣きをしてしまった。
それをみたドラバルトとモドルグは、どうしていいか分からず困惑している。
そしてその光景を、ずっとみていたファルスとミィレインは頭を抱えていたのだった。
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