第17話 ギギラには頼りになる彼氏がいっぱい居るからさ
「では、僕はこのまま仁王立ちでもしていようか」
ハイマは余裕そうな表情でギギラにそう言い放った。
彼女の中で、もうすでにこの決闘の勝敗は決まっている。
【声無し】の力だけではハイマの使う【
現状、ハイマ自身もギギラ・クレシアに攻撃を与える事は出来ないが、彼女が【声無し】の力を維持できるのは残り30秒ほど。
その時間が過ぎればいとも簡単に殺す事が出来る。
ハイマが負けるどおりは何処にもない……そう考えるのが自然だろう。
「────」
「顔色一つ変えないね。【声無し】を体に降ろしている影響かな?それとも自暴自棄になっているのかい」
ただ一つ、ハイマが負ける可能性は確かに存在する。
それは考えてみれば当たり前の事だ。
ある意味【声無し】と言う神のインパクトによって一瞬忘れてしまった当たり前の事。
「────」
死刑囚ギギラ・クレシアの罪状は【武器化】の禁術を使い、合計70人になった彼氏を武器に変換して保存している事。
つまり、ギギラには【声無し】の力に他の力を上乗せできる余地が十分にあるという事だ。
「おうギギラ!!生きてたか……ってなんだその恰好」
ギギラ・クレシアがゲートを開く。
そこから飛び出すのは共に戦場を駆け巡って来たバランの姿。
【声無し】の力だけではハイマの使う【
だが、他の力を合わせて強化すればその限りではない。
その事にハイマが気づくのは……体が骸と化した3秒後の事だった。
「─────────」
ギギラはバランを持ち、先ほどと変わらぬ猛スピードでハイマを襲う。
バランの先端についた刃物部分で肉を断ち、バランの扱う魔法で内蔵を抉る。
人間には視認できないスピードで行動する【声無し】の力。
全ての属性魔法を極貧スケールで放つバランの力。
この二つの力は非常に相性が良かった。
どれだけ弱い威力の魔法でも、一秒間に一万回の密度で打ち込まれればたちまち凶悪な一撃へと変貌する。
そして、属性も選び放題ときたものだ。
火、水、土、風、光、闇。
原初的だが凶悪な魔法たちがハイマの体を貪りつくす。
「っつ、
ハイマの誇る体の再生はもはや機能などしていなかった。
そこに有るのは、森羅万象が際限なく襲うがごとく拷問。
ハイマ・シェパードが作り出した【ナパームヴォイド】に見劣りしない地獄であった。
地獄が始まって3秒、ハイマの体は骸と化す。
しかしギギラは攻撃の手を止めない。
それは【ナパームヴォイド】によって大切な人を殺された恨みからか、【声無し】の力を貸してくれている20人目の彼氏であるミノトの為なのか、それとも異常な回復力を見せつけたハイマの持つ神の力を恐れたからなのか……真相は誰にも分からない。
分かるのは、ハイマ・シェパードと言う一人の死刑囚が文字通り跡形も無く消えて死んだという事だけであった。
「───そういえば、君は言ってたね。ギギラを殺すのに3分もかからないってさ」
そうして30秒の時間制限が過ぎる。
白装束は消え去り、ギギラの左手には【
「ギギラは君を倒すのに1分もかからなかったよ」
元の姿になったギギラは二つの
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