第45話 決戦前夜と百合パーティー?
おじいちゃんからミッションを言い渡されてちょうど1年が経とうとしていた。
明日はいよいよ最後のミッション。
『魔王討伐』の日だ。
本当は乙女ゲーム第2部の世界なのに全くそういう事が起こらないから心配したけど、もうなんかどうでも良いらしい。
取り敢えず王国の怪しい貴族は端から鑑定し、処分済みだ。
王様泣いて喜んでいたっけ。
あれから私たちは、それはもう仲睦まじく愛しい日々を過ごしていた。
俊則はとっくに覚醒上限を迎え、なんだか知らないけど熟練度が文字化けしてしまった。
心配になり創造神様に聞いたらなんだかとっても呆れた声で『お前らやり過ぎじゃ』とか失礼なこと言われたけど。
でも問題はないらしい。
というかなんかもう俊則強すぎて、ヌルゲーらしいよ。
いよいよ明日私たちの運命が決まる。
因果が完全に収束する。
もちろん私たちが選ぶ選択肢は『このまま暮らす』一択だ。
今更俊則のいない世界になんて帰れるわけがない。
絵美里も俊則も強く賛成してくれたしね。
えっと、赤ちゃんはできていません。
なんか創造神様が『決戦の後にせい。集中できんだろうが』とか言うし。
どうやらおじいちゃんがそういうスキルを使ったとかなんとか。
まあね。
しょうがないかな。
愛は全く変わらない……いや、より強くなっているしね。
もう俊則カッコよすぎ♡
いまだにキスだけで私ときめいちゃうもん。
絵美里も今スッゴク幸せだよ。
たまに二人きりでもするようにしたけど……うん、ちょっとまだ嫌だけど…
でもほら、私も二人きりでしたいし…あう♡
ルルもなんかもう俊則大好きで、今は3人がそれぞれ可愛がってもらっています。
もちろん…その、えっと…4人の時もあるけど……うう、き、気持ちいいの!
しょうがないじゃん!!
あー恥ずかしい♡
という訳で今日は決戦の前に侯爵家主催でパーティーを行っているところ。
※※※※※
「勇者シュラド様、どうかこの国を、いや世界をお守りください」
国王が俊則に頭を下げる。
「はい。……頭をお上げください。私は大切な者たちのため努力するだけです。必ず撃ち滅ぼします」
「うん、そうだね。俊則はもう私でも全くかなわない。君が勝てないならだれも勝てないよ。頑張ったね」
「ガイウスさんのおかげです。任せてください」
男性たちは明日の事で話をしているね。
レギウスさんは『伝説』なので一応偽名と、紳士っぽく偽装している。
まあそうだよね。
絶対大丈夫だと思うけど、もし俊則が負ければ世界が滅ぶんだ。
心配するのは当たり前か。
私はワインを楽しみながらそんな様子をちらりと見ていた。
「ロナリア様!」
「エリス、いらっしゃい。久しぶり……でもないわね。あら、アイノリア嬢もようこそ」
「はい、ロナリア様。お招きいただきありがとうございますわ」
美しいカーテシーを披露するアイノリア嬢。
言葉遣いもまともだ。
良かった。
この子もやればできる子だったのね。
「ええ、楽しんでいただければ嬉しいわ」
周囲の男性からため息が漏れる。
確かに私たち見た目は非常にいい。
まあいろいろと訳アリだけどね。
一応私と俊則は婚約していて、魔王倒したら大聖堂で式を挙げることになっている。
そしてお披露目が終わり第2部、いわゆる侯爵邸でのお披露目の時に第2夫人になる絵美里との結婚式を行う予定だ。
そして第3夫人として何とルルまで娶る。
でもルルの『あっち』はますます磨きがかかって、ついこの前会員が500人を突破したとか言っていたっけ。
はははっ、もう笑うしかない。
因みに私、会員番号2番なのよね。
もちろん1番はルル。
無敵の会長様でございます。
あと私に可愛い弟が出来ました。
やっぱりあの時お母様、お父様とラブラブして出来ていました。
うん、まだ首も座ってないけど、めっちゃ可愛いの♡
私たちも早く欲しい♡
お兄様もあと3か月後くらいに子供が生まれるとこの前聞いたし。
侯爵家は安泰だ。
コホン。
俊則は特別な爵位『大公爵家』の初代当主になる予定だ。
良かったよ。
この国のトップが阿呆じゃなくて。
ありがちな『用済みの勇者を排除する』気がないからね。
まあそんなことするようなら私が滅ぼしちゃうけど。
またお父様の胃薬の量が増えちゃうわね。
※※※※※
パーティーもひと段落し多くのお客様が帰った後、俊則は明日に備え大聖堂へと移動していった。
「舞奈、待っていてね。倒して帰ってくる……愛してる」
そう言って優しくキスして颯爽と転移していったの。
レギウスさんとの訓練で、転移魔法習得しちゃったのよね。
もう凄い。
私の旦那様かっこいい♡
※※※※※
今私たちは私の自室に集合しているのだけれど……
私そんなこと言ってないよね?
なんでみんな色っぽいひらひらな服を着て、目をギラギラさせているのかしら?
ねえ?
おかしいよね?
「ひいっ」
突然ルルに腕をつかまれ、何故か一瞬で私もそういう服にされている!?
「ロナリアお姉さま、明日に向けて英気を養いましょう!」
「そうですね舞奈さん。……優しくしますね♡」
「はあはあはあ♡あああ、お美しい♡あう、アイノリアはもう、辛抱できませんわ♡」
ゆらりと私に近づこうとするアイノリア嬢を、凄まじい速さでエリス嬢が邪魔をする。
突然私の目の前にいる!?
「ダメですわ。今日の一番はわたくしですわ。……あああ♡お姉さま♡」
「ひうっ、ちょっ、ちょっと、ま、まって!?んう♡」
そして熱烈で濃厚なキスが襲い掛かる。
エリス嬢の手が私の体を……
「あん♡くうっ、ま、まずい、ルルっ!た、たすけてっ!!…ひいっ!?」
ダメだ、ルルもなんか怖い顔してる?
あう、私に絡んできた!?
「もう、ロナリアお姉さま♡今日は無礼講ですよ。ああああ♡お姉さま♡」
「あっ、あっ、あう♡、い、いやあああああーーーーーー」
「舞奈さん♡私も♡」
「うあ♡……あああん♡……あ、ああああああああああああ♡」
※※※※※
あのさ。
明日世界の命運を分ける戦いがあるのよね?
私たちが愛する俊則が命をかけて戦うのよね?
どうしてこうなるの?
くうっ、やっぱりこの世界、ピンク100%なんでしょ!!!
※※※※※
「あ、私もうだめかも」
「ふふっ、舞奈さん、可愛かったですよ♡」
「……もう」
私はベッドで隣にぴったりくっついている絵美里にジト目を向ける。
狂乱の宴は終了し、皆で湯あみをし、自室には私と絵美里とルルだけになっていた。
エリスとアイノリア嬢は第2回戦とか言っていたけど……
ふう。
凄いわね。
「ロナリアお姉さま、いよいよ明日ですね」
反対側からルルの可愛い声がする。
私は手を伸ばしルルの髪の毛を撫でる。
可愛い私の従者で従姉弟で…
そして私を一番助けてくれたルル。
貴女に会えてよかった。
「そうね。でも…俊則はぜったいに負けないよ」
「ええ」
「はい」
だって。
私たち3人が愛する勇者様は。
世界で一番強くてかっこいいんだから。
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