第19話 海②
現在の状況を簡単に説明すると、修哉と花守さん以外の三人が俺を見てとても困惑しており、さらにその様子に俺が困惑している。
確かにいつも通りの反応はされるぐらいだと思っていたのでここまで想像以上の反応をしていることに逆に俺が困惑してしまった。
とりあえずどうしてそんなに困惑しているのかが分からなかったので一人の男子に聞いてみる。
「えっと、どうしたの?」
「え、あ、その江崎くんが来るとは聞いてなかったので…」
「え?聞いてないの、修哉から」
「は、はい。…二人は何か聞いた?」
男子はそういうと隣の女子二人にも聞く。
二人は聞かれると首を横に振った。
おっと?嘘だろ?
そう思うと俺は修哉に視線を向けて問いただす。
「修哉お前、俺のこと話さなかったのか?」
「ん?あー、そういえば言ってなかったような…」
「…このクソガキが」
こういうのはテレビでよくあるサプライズ登場ドッキリみたいな俳優とかがやる感じに近いだろう。
しかし、今回のこれはテレビとは内容が一緒でも質といったものが真逆だ。
テレビでは俳優とか芸能人とかそうゆう有名な人がやるからドッキリにかかった人は驚きはするもののそれは嬉しいとかすごいとか感じていい感じに終わる。
でも今回出てきたのは俺、学校で不良とかと噂をされている人間だ。
そんな奴が突然知りもせず友達との遊びにいたらどうなる。
出てくるのは歓声よりも悲鳴だよ!
しかしその最悪なドッキリはもう訪れてしまったみたいなので今はこの状況をどうするかだ。
ここは俺が帰れば済む話なのだがとりあえず聞いてみる。
「その、すまん。あれだったら俺だけこのまま帰ってもいいのだが…」
「え、帰さねぇよ智」
「お前は黙ってろ」
もとはといえばお前が作ったんだからなこの状況。
しかし、それを理解していないのか間抜けな顔をしている。
「あ、いや、突然いたことにびっくりしただけだしそんなことしなくても大丈夫だよ」
「そうですか…本当すみませんうちの馬鹿が」
男子は俺にそう言ってくれる。
内心では怖いとか思っているだろうにそれを口に出さず困っていないように装っていて俺は優しいなと感じてしまう。
「なぁそろそろ行こうぜー」
すると修哉がつまらなさそうにしながらそんなことを言い出す。
やっぱこいつ後で一発叩かないといけないみたいだな。
そんなこんなで俺たち(主に修哉と花守さん以外の四人)は少し気まずい空気の中、海に向かうのであった。
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