第7話 スイーツ②
楽しみを待つ時は何故かいつもよりも時間が早く感じてしまう。
現在、時刻十三時半、場所は駅前にいる。
本当は十四時集合なのだがこの前のナンパ事件もあったため、その対策と言った感じだ。
そのため現在待ち合わせの時間まで少し余裕があった。
俺は近くにあるベンチに腰を下ろし事前に持ち合わせていた小説を開いて待ち合わせの時間まで時間を潰すのであった。
―― ―― ――
「江崎さんこんにちは」
「ん?あ、花守さんこんにちは」
声をかけられて顔を上げる。
視線の先には花守さんがいた。
スマホにある時計を見ると十四時前、体感ではそんなに経っていないと感じたが案外集中していたようだ。
腰をあげ、花守さんの方に近づく。
「江崎さんすみません待たせてしまったみたいで」
「全然俺も今来たばっかりだし」
「本当ですか?」
「うん、そう」
目的地に着く前に変に困らせてしまうのは嫌なのでここは少し嘘を言わせてもらった。
花守さんは「そうですか…」とは言ったもののあまり信じてはいないみたいだ。
「…では行きましょうか」
「そうだね」
花守さんは身体を駅の方に向け歩き、俺もそれに追う形で向かう。
目的地はこの駅から三駅ほどの場所のところにある店だ。
切符を買って電車に乗り込む。
昼過ぎなこともあり電車の中はそれほど混んではいない。
とりあえず俺らは近くにある席に座る。
ガタンガタンと揺られること十数分ほど、三駅は意外と近いみたいですぐついた。
ちなみに電車に乗っている時は終始無言であり、話題とか用意すれば良かったと後悔した。
まぁ、それはともあれ俺らは駅を出て徒歩で四、五分歩くと今回の目的地『宮村のスイーツ』が見えてくる。
ここは結構有名なスイーツ食べ放題の店。
特にここのショートケーキが人気らしく俺も一度は来てみたいと思っていた場所だ。
俺は横にいる花守さんに目を向けるともう待ちきれないのか顔に喜びの表情をあらわにしていたのでとりあえず店に入店をし、二人分のチケットを購入する。
「それじゃケーキ持ってこようか」
「はい!」
席を確保して、各々好きなケーキを取りに行くことにする。
俺は選んだ結果、人気のショートケーキにカップケーキを三個ほどにした。
席に戻ると花守さんはすでに席に座ってスイーツを食べているのだが……、明らかに量が多いような。
ショートケーキやチョコケーキなどのものを計五つ、もう少しでホールが出来てしまう。
「あ、おかえりなさい江崎さん」
「あ、うん」
「あれ?それだけで良いんですか?」
「うん、まぁ。…花守さんはたくさんあるね」
こちらに気づくと、俺の持ってきたスイーツを気にし出した。
それだけかー、まぁそう思うほどスイーツが好きってことなんだよな。
「はい、ここのスイーツはどれも美味しいと聞いたのでたくさん食べて帰ります!」
そういうとまずショートケーキを一口食べる。その瞬間花守さんの目をキラキラされた。
そんな花守さんを見ていると一緒にいてとても楽しく感じるのであった。
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