勇者学園とスライム魔王 ~ 勇者になりたい僕と魔王になった君と ~

冒人間

プロローグ

僕と君との再会



その場にいる誰もが必死の形相で『それ』を見つめていた。



「フィルーーーーー!!!!」


場違いなほどに明るく、喜びに満ちた声が『それ』から発せられる。

『それ』は漆黒の身体を持つものであった。

人間の女の形をしているように見えるが、その身体は粘液で形成されており、足首から先は黒い水たまりと一体化している。


その姿は紛れもなく異形。

人類の天敵。

すなわち魔物であった。


「ボクね、ボクねーーーー!!!」


その異形が、一人の少年に向かって叫ぶ。

とても嬉しそうに、万感の思いを込めているかのように、とても大きな声で―――


「魔王になったよーーーーーーーー!!!」


少年は呟いた。


「………マぁジで?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る