新生月姫

宇奈月希月

第1話 プロローグ

 数多の“世界”で成り立つこの世界だが、特に三つの世界が力を持っていた。


『聖界』

“光の神”を擁し、神々の王である“大神たいしん”が総べる世界。

 神々が住まう『神界』とは別に、神々に祝福された人々が住む『月界』があり、間を取り持つ天使たちの住む『天界』の三つの世界で構成されている。

 多くの神と、多くの精霊に囲まれ、年中花咲く美しい楽園。


『魔界』

“闇の神”に守護され、“魔王”が治める世界。

 遙か昔、聖界で反旗を翻した人たちが住む世界で、未だに聖界との争いが度々起きる。魔王を筆頭に、“魔族”と呼ばれる貴族たちによって、厳格に統治されている。

 暑さ寒さが厳しく、住みにくい土地ではあるが、魔獣との棲み分けもできており、治安は比較的良いとされている。


『冥界』

“封印の神”の調和を受け、民主制で選ばれた“冥王”が治める世界。

 元は聖界と魔界の混血である、“両族”によって建国されたため、中立国家として、移住者も多く住む。

 文化が複雑に絡み合い、急速な発展を遂げた。特に、医学においてはトップレベルであり、医療や福祉関係の知識を身につける者が多い。


 この多くの“世界”を総べる三つの世界であったため、総称して“三大界”と呼ばれ、同じようにそれぞれの国を治める王たちを纏めて“三大王”、それぞれの守護神を纏めて“三大神”と呼ばれていた。


 長い歴史の中で、争いながらも、微妙なバランスの中で、それぞれは発展していき、他の小さな世界を導いて行った。


 しかし、五年ほど前に起きた戦争は特に酷く、月界を治める月王と、魔界を治める魔王の直接対決の末、月王が命を落とした。

 それを目の前で見てしまった月王の娘である、第二王女を守るため、彼女は別の世界で過ごしていた。

 そして、ついに彼女が帰還したことで、物語が動き始める。


 月王家第二王女、ナギサ=ルシード。

 次期大神にして、月王の継承権第一位。

 彼女が、月王を継ぐまで残り約二年。

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