第15話 気分は採掘者
ダンジョンから出たら、途中で嫌になって分別をやめたせいで、明らかに少ないアリの外骨格を売る。
それでも小金貨1枚にはなった。
それから、冒険者2名が事故死した手続きだ。
パーティメンバーの一部が帰ってきて居るのに、この申請が無いと後々面倒だと言われたので出しておく。
そしてそのまま、また奴隷商人の所にやってきた。
中には別の男が座っていた。
「お前みたいな奴が来る所じゃ無いぞ、それとも奴隷にでもなりに来たのか?」
ここでは接客マニュアルかなんかに、こう言えって書いてあるのか?
「うるせい、戦場這いずり回るゴミムシがほざくな!」
「何だとコラァ!」
あぁ、こいつはハズレか。
「いちいち本当のこと言われて騒ぐな鬱陶しい。
お前じゃ話にならん、さっさと上のもの呼んでこい」
目の前の商人がいきなり鐘を振り回した。
福引で大当たり出すと鳴らすあれだ。
カランカランと小気味よく音が鳴ると、奥から2人ほど、体格のいい男がシミターを持って出てきた。
最初から抜き身だ。
「お前ら、エモノ持って向かってくるなら、死んでも文句言うなよ」
一応忠告はしておく。
「やめなさい」
ヒョロっとした地味な男が現れる。
「ウチのものが失礼いたしました。
お持ちの木札を見せていただけますか」
木札?木札…ああ!
「これか?」
「はい、それを見せていただければ余計なお時間をいただなくてすむかと思います」
ふーん、これってそんな効果なんだ。
雑に渡されたから分からんかったわ。
明らかにこの札見た受付の男の顔色、変わったもんな。
「まぁ、良いやちょっと契約交わしたいんだわ」
奴隷商人が契約ごとを担当するのは、大きな契約を行った場合、トラブルが起きると最終的に奴隷落ちという事が多いので、最初から奴隷商人が介入する方が契約不履行の際に処理がスムーズなのと、奴隷落ちを実感させて契約を破りづらくする
割と上手く出来たシステムだなって思う。
とりあえず、これで3人の契約を終える。
一応監視の意味も込めて、鍛治師の所に連れて行こう。
ポアンの親父にヒヒイロカネが手に入るかも言ったら空いてる部屋は自由に使って良いことになった。
「旦那ぁ、改めて名のらせてくだせぇ」
「え、名前覚えるのめんどくさいから嫌だ」
「え?」
「お前はザコ」
ちょっとゴブリンっぽい背の小さい男を指さした。
「お前はドモ」
色黒のオークみたいな相撲体型の男を指さす。
「お前はクズ」
さっきから旦那、旦那うるさいやつにそう言う。
「ザコ、クズ、ドモ、でパーティ名は酷い三連星な」
「え、は、はいー」
「後で戦闘開始のセリフ教えるから、ちゃんと言うようにな」
3人はクビを傾げながら、頷いた。
ー翌日ー
「素人め間合いが甘いわ」
「ザコとは違うのだよ、ザコとは」
「俺を踏み台にしやがった!」
「よし行け!」
「「「無理無理無理無理」」」
既に34階まで降りてきている。
目の前にはミノタウルスが5体ほど。
いけないか?
いけるだろう。
「全部じゃなくていいなら何体いける?」
「1体なら…」
「少な!今までどうしてたんだ?」
「あんな数多いのからは逃げてますぜ旦那」
あー!そうか逃げるって選択肢あるのか!
なるほどなぁ。
「よし!お前ら1体倒せ!俺は残り4体位ってくる!」
「え!今逃げるって言ったら、その手があったかぁって顔したじゃ無いですかぁ!」
「うん、思ったけど勝てそうだから行く」
「ポアンも牽制くらいはしてくれ!行くぞ!」
今回はスライムが斬撃耐性持ちと聞いたのでハンマーを借りてきた。
それも2本。
「ハンマーヘル!ハンマーヘブン!」
あくまで、1本づつの名前なんで、俺の中ではセーフだ。
「魔石になれぇ!」
そう叫びながら攻撃したら、全員俺に襲いかかってきた。
ついでに周辺のモンスターも寄ってきて大乱闘だった。
ちょっと大変なことになったが、俺的にはロマンが補給出来て満足だ!
「だ、旦那…無茶苦茶ですぜ、あの数に向かって行くのは普通しないもんですぜ」
なんか言われてるが無視しよう。
「ほれ、さっさと洞窟行くぞ」
なんか不満そうな顔だな。
1発殴った方が良いのか?
まぁ良い、今回はヒヒイロカネを最大限確保するために魔石以外が全部放置してきた。
「ここですぜ」
やっと着いた。
めちゃくちゃ入り口が小さい洞窟だ。
ちょっと屈まないと入っていけないくらいだ。
「ポアン、中に明かり飛ばしてくれない?」
「はい」
「うわぁ、真っ赤だな」
「あれが全部スライムなんでさぁ」
「倒せばヒヒイロカネ手に入るのか?」
「そうですね、それが1番純度高いので、採掘するより効率良いです」
ポアンがそう言うんだからそうなんだろうな。
「おし!行ってくるからここで待っててくれ!メイは隙見て回収な!」
俺は真っ赤な洞窟へと入っていった。
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方はフォローや↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さるとありがたいです。
よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます