第8話 アンジェとお稽古の時間
ミリーにお風呂に入れられ、ベッドへ潜ると今日のおさらいだ。
「国には、青銅貨銅貨、銀貨、金貨、特別な聖金貨がある。串1本で銅貨3枚か、おおよそ300円くらいになるかな。銀貨は1,000円で金貨は1万円くらいかなぁ?」アンジェは思いながら眠りにつくと。(そんなわけ無いだろ!どんだけ金が取れんだよ。銅や銀はともかく、市場の流通がおかしいくなると思わん?銀貨は、1,000円としても100枚で金貨1枚で、10万円じゃね。聖金貨なら、その10倍から100倍くらいじゃね!もっと何か買うかしてみろよ。そうね、安宿なんかいいかしら。じゃ、おやすみ。あれ、もう寝やがったよ、寝付くの早くね。)
翌朝、今日は何処に行こうかしら。とアンジェは遊ぶ気マンマンであった。
アニーが、お世話の為に、来たのだが「アンジェ様、昨日の事は旦那様へ報告済みです。大変、喜ばれていました。そして、今日はお出掛けではありませんよ。」「えっ。何で??まだ何も言ってないじゃ無いのよ。」「お忘れですか、マクミラン様との稽古のことを?」
アンジェは、「マクミラン?だれ?」アニーは、少し怒りを鎮めながら「領主軍の団長ですよ!何故、覚えていないのですか?会ったことありますよね。」(やっぱりな、いつものアンジェだ。そうでなくっちゃ!ア・ン・ジェ!そういえば、もう直ぐ1つになるって言ってたじゃない?嘘なの!!いや、分からん。記憶の残滓ざんしでしか無い私達は、主人格に記憶を引継いで消えてしまうはずなのだが?消える感じがしないんだよね〜。不思議だね、アハハハ。いつも、裸を見られてトイレも見られて恥ずかしいのなんの、何かムカついてきたわね!良いじゃねえの、記憶の流し方が効率良くなるし、頭が何個もあると思えばさ〜。それに、まな板に興味はぁ〜な・い!ちっ!殺す!何時か見てなさいよ!)
頭で整理した?アンジェは「そうでしたわね。団長に稽古でしたわね。食事の後に、私は訓練場で良いかしら?」(ナヨナヨした話し方だ。俺、ん〜僕くらいにして欲しいな。黙らっしゃい!)
食事を終えたアンジェは、準備をすると訓練場へ向かった。
訓練場には、雨でも訓練が出来るように体育館くらいの建物がある。「アンジェ様、今日はこちらの中になります。」アニーから案内されると、団長は素振りをしていた。
「マクミラン団長、本日はよろしくお願いします。」アンジェに気がついたのか、「アンジェ様、ようこそ、お待ちしておりました。閣下から話は聞いておりますので、見えないように、こちらで稽古を行います。」「マクミラン、ここに居るのは、私わたくしだけではありませんよ!侍女と言っても、私の専属です。礼を持って対応なさい!」直ぐに、アニーは「アンジェ様、私は良いのです。ただの侍女ごときに勿体ない。」すると、マクミランはら「これは、失礼した。アニー殿、他意はないのだが失礼をお詫びする。」うんうん、知的で柔軟性があるなぁ。伊達に、団長をやってないか?「アンジェ様、失礼いたしました。しかし、見ない内に、大変ご立派なられましたなぁ。一瞬、閣下の激を思い出しましたぞ。」(今までが、残念アンジェだからな、仕方ない。)「団長、私も言葉が過ぎましたわ。お許しくださいませ。」(ゲボッ!人の記憶を、利用するなんてズルくない。なに、お淑やかキャラ作ってんのさ。)アニーが、「アンジェ様が、こんなに教養を身に着けていらっしゃっるなんて!」「確かに、5歳とは思えない程に、言葉に力がおありですな。では、そろそろ始めるとしましょう。」
マクミランは、大きな大剣を手に持つと肩に置き「アンジェ様、今日から木剣では無く、刃を落とした物になります。突き、斬るも自由ですが、寸止めも可能なら覚えていってください。」アンジェは、「これに決めたっ。」とショートソードを2本を左右の腰につける。「まだ、成長期だから!長い剣は無理なの!」と真っ赤になりながら説明した。(ププッ、ナイフか包丁でもいいんじゃね。何時も、失礼ね脇差しくらいなら良かったのに!)
2人が中央で対峙する。
アンジェの攻撃、剣を振りかざした。『キンッ』団長は、剣を受け止めた。アンジェは、左手でもう1本の剣を横に薙ぎ払う。
団長は、後方へ飛び避けた。続けて、大きく振りかざす。アンジェは、横へ飛び後方へ回る。
アンジェは、伸びた右足を狙い斬りかかる。
また『キンッ』と振り向き剣を地面に突き刺し受ける。
更に、左の剣で右腕を切り落としに掛かる。団長は、剣を引き抜くとそのままアンジェの剣を受け止めるが、そのまま右肩に向けて突き進む『キーッ』と剣に沿って。
団長は、力で大剣を上げると軌道を逸らす。そこに、アンジェは飛び右回り下痢?蹴りを団長の脇腹に叩き込むが、マクミランは、少しかがむと右腕で、蹴りを受け止める。(また受けやがった!アンジェ、連続蹴りだ。)アンジェは、そのまま回転し左足で、裏蹴りを顔に叩き込む。
団長は、距離をとり「アンジェ様、聞いた通り技は大した物ですが、まだ力が足りてませんな。」「まだ、仕方ありませんわ。体も技に見合うような力がありませんもの。」アンジェの答えに、「そうですな。2本の剣をそれぞれ操る技量に、蹴りとは、恐れ入った。夢では、大変な修練を為さったのでしょう。」と興味を持つ団長は、休憩を入れてから、もう1勝負となった。
アニーは、「アンジェ様、団長に1撃を入れましたよ!」と興奮していた。
アンジェは、「マクミラン、兵士たちは、基本的に剣を扱うのですか?」「ええ、基本的に剣と盾ですが、両刃斧や大盾と剣の組み合わせと様々です。」
一息つくと「では、そろそろ再開しましょうか?」とマクミランが言うと、アンジェも中央へ対峙した。
マクミランは、「今度は、こちらか行かせてもらいます。」と、突進と同時に大剣を振り上げて剣の間合いに入ると振り下ろす。アンジェは、半身でかわすが、大剣は振り切った剣先が地面につくと、その反動でアンジェの無い胸に切り上げていく。(ゲフンゲフン)アンジェは、右手の剣を振り下ろし、両手を使い受け止めるが、体は浮き上がり空中で無防備になる。マクミランは、剣を引くとアンジェの腹部に突きを放つ。左手で剣を抜き、右の剣とクロスさせて、突きを受けたが後方に飛ばされてしまう。
マクミランとアニーの声が揃う。「アンジェ様、大丈夫ですか!」駆け寄る2人に、手を振り無事を知らせる。
『ホッ』としたように、近づいてくる。「驚きましたな。寸止めで決めるつもりでしたが、まさか剣で受けられるとは、いやはや将来が楽しみですな〜。」マクミランは、遠い未来を妄想している。
アニーが、服に付いた砂を落としながら、「お怪我はありませんか?」と体のあちこちをクルクル回りながら確認する。「もう、心配性ね。でも、悔しいわね。予測、対応が出来ても力で、負けてしまう。」アンジェが、珍しく悔しがっている。
(今のは、仕方ない。最初から、打ち上げて逃げられない状態に持って行くことを狙っていた様だしな。それでも、何か回避出来たんじゃないの?お父様の時みたいに、腕を取ったり。いやいや、団長は寸止めを狙っていたんだよ。腕を取られないように、対応してくるだろ。今回は負けだ!それにしても、手加減してるから、本気の力ならそのままねじ伏せられて終わるな。ムキ〜!もう、役に立たないわね!『ブチッ』んだとコラ!負けて負けて死んで死んで来た俺に何処まで期待してるんだよ。肉と力をつけてから言えっての!そう、残念で残念な人の集まりだったわね!アンジェに言われたくない!)
マクミランは、「アンジェ様は、目がいいようですな、あの様なかわし方は、普通は恐怖で大きく動くものですが、最小限でかわし、突きを剣で受けるとは、ズレたらグサッと貫かれて、真似できる者も殆どいないでしょう。」「そうなの?」「そうですとも、これで啓示があれば将来は、どんな騎士になるやら。」マクミランもアニーも、嬉しそうにしている。
「マクミランは、啓示を受けたの?」アンジェは気になって尋ねた。「私ですか。私は、火を扱うことが出来ます。余り広範囲では無いですが、剣に炎を纏わせ剣圧と共に打ち出したり、周囲を斬り伏せ燃やしたり、野営では、火種が要らないとか。ハハハッ」と凄いと思ったら、落ちまでつけてくれるなんて、面白い人だわ。
「今日は、これくらいにしておきましょう。課題は、力を付けることですな。持久力も無いと長期戦では、油断に繋がりますぞ。では」とマクミランが後にすると、アニーは、「アンジェ様も、休息を取りましょう。」と訓練場を後にした。
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