第10話

それから、春宮さんはそこそこ頑張っている。


「これ見て、春さん」


「何よ・・・これって」


「そうだよ、秋宮さんが万引きした所だよ」


「・・・っなんですぐに分かったのよ」


「はぁ、それを君に言ったら悪用するかも知れないだろう」


「そんなこと・・・しないわよ」


「一瞬、間があった」


「・・・しない、もうしない」


「まず、俺はいつも利益を見ている。」


「・・・っ?」


「ほら、ここ。」


「ズレてる」


「普通はしっかり支払いをしていると、ピッタリになる筈なんだよ。でも、ズレてる。この足りてない分はなに?」


「・・・」


「そう、何かしら問題があると言うこと、もしかしたら、ただの計算ミス、最初の合計金額の間違いかも知れない。けど一応確認するだよ。」


「・・・」


今度はカメラを見る。

「そして、ほら、うちはレジがここしかないし、近くに物はない。カフェだし、そもそも、レジに人が寄る機会なんて限られるてるし、レジからお金を取れる位置に向かうこと、手を伸ばすことなんてさらに限られている」


「・・・」


「はぁー、レジをもっとしっかりしたのにすれば良かった。鍵のところ壊れてるし、安いのにして貰ったんだよね」


「・・・なんで、私に教えたのよ」


「もうしないって言ってるし、」


「・・・もしかしたら、私が何かに利用するかもよ。」


「そうかもね」


「・・・アンタ、意味わからないよ」


「俺もそう思うよ。けど一つ言いたいことがあるんだ」


「何」


「これが君もしたことだよ。」


「・・・」


「分かりやすいでしょ、こんな簡単にバレて、こんな簡単に自分の大切な人から離れるかも知れなかったんだよ」

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