変な宇宙人に好かれすぎてて困ってるんですけど!
弐屋 中二(にや ちゅうに
ファイ子とチリと俺
第1話 エイリアンどもの好み
10年前の1997年のことだ。
この地球にエイリアンどもが堂々と降り立ったのは。
そいつらは、惑星エリンガとかいう星がぶっ壊れたから地球に難民として逃げてきたらしい。
ワープ航法や空気中のプラズマを利用した発電などの技術をエイリアンどもから借りるという条件で、我が国日本はその総人口の1割……200万人の受け入れを決定した。
我が国にエイリアンどもが浸透していくのは早かった。高知能で技術力もあるそいつ等はあっという間に政治とネット含めた芸能界に食い込んだ。
テストに備えてアイツラのあっっっさい地球との歴史を思い返している俺はいま、高校への通学の電車の中なんだが、目線の先の電車の吊り広告では、ガリガリのどう見ても、もてなそうな塩顔の二十代半ばの血色悪い男が、頬を染めてブーメランパンツ一丁の股間を両手で隠している。
……あいつらの好みど真ん中の彼が、エロい格好で表紙を飾ると雑誌は飛ぶように売れるらしい。
そうなのだ。エイリアンどもはモテなさそうな人間の男が性的に大好物で、今や街の中は二十代から七十代からまでのモテない男の性的なグラビアで溢れている。我が国に根を張りまくったエイリアンどもは購買力があるので、いつの間にか、こんなことになってしまった。
というわけで、奴らの技術で音もなく駅で停まった電車から俺は降りて、我が高校へダラダラと向かうとする。
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