夫婦の会話(その1)

さてさて時計の針は13時を回り、

小料理屋アコの昼営業は終了になろうとしていた。最後のお客が会計を済ませて店を後にする


客一【ごちそうさ~ん、また来るわ~】


広志【ありがとうございました。

またどうぞ~】


アコ【ありがとうございました~】お客が見えなくなるまで見送る


暖簾(のれん)を下げて店に入れるアコ

札も休憩中に代えて、入口のカギを閉める


広志が調理場の後片付けしながら、

皿洗いをしていると


広志【今日も忙しかったな~】


アコ【今日は見ない顔のお客も来たわね~】テーブルに残った皿やコップを集めたり、

拭いたりしている


広志【忙しい位がちょうど良いのかも知れないがな】


アコ【私達も早く片付けてお昼食べましょう、もうお腹ペコペコよ!】


広志【はいはい】


さて、二人は賄いである今日の日替わりを食べている時のやり取り


広志【どうかな~少し味が薄すぎたかな~】


アコ【これくらいで良いんじゃないですか?、タレで濃くするより塩でシンプルにした方が良いですよ】


広志【白菜漬けはしっかり漬かっているな~】


アコ【そりゃ~まぁ~ね】若干得意気に


広志【うまいよ!良いアクセントになってるよ】


アコ【よし‼】心の中でガッツポーズしている


広志【そういえば、夜レバー使った

   料理何にする?】


アコ【何にしようかな~】


広志【何にしようって、

   考えてなかったのか】


アコ【良いのが浮かんでるんですど、

メニューとなると違う気がしまして

毎日出せるものでもありませんし】


広志【う~ん、それならレバカツと   

   か、レバ玉とかかな~】


アコ【レバ玉は分かりますけど、

レバカツってなんですか?】


広志【大分前に九州の方に慰安旅行行っただろ!あの時にお昼に食べた定食の中にあってな~大将に聞いたら豚や鶏のレバーで色々メニュー考えてるそうだ】


アコ【レバカツか~

   フライものですか~】と

   少し悩んだ表情で…


広志【試しに、今日のお通しレバカツ  

   にしてみるか、レバー苦手な

   人にも食べられるように

   しないとな】


アコ【そやな、これほど鉄分や貧血に

   良い食べものは他にない

   ですから】


広志【最近は、鉄分グミなんて

   あるくらいだからな~】


アコ【あぁ~あのデヴィッドスカルプ 

   さんがやられているCMですね】


広志【そうそう、夜の日替わり

   はっと、サワラの刺身と

   キャベ玉にでもするか…】


アコ【あなた~、いくらキャベ玉

   簡単だからって週一では

   いけません‼、他の料理に

   しましょうね】と若干感情を

   あげながらも満面の笑みで


広志【う~ん、それなら

   茄子の炒め煮でもするか、

   茄子味噌や麻婆茄子だと

   サワラの良さが分からなく

   なるからな】


アコ【それがいいですね】


広志【ごちそうさまでした】


アコ【おそまつさまでした】


広志【洗い物して、少し仮眠とるか…】


アコ【そうですね、休まないと身体が

持ちませんものね】


そして二人は夕方の営業に備えて、

つかの間の休息に入ったのでした

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