満身創痍

 たまの帰省で夫が帰ってくるとすぐに分かる。


 カツンと靴音がして、玄関に鍵をかける音がするから。


 「おかえりなさい、あなた」


 出迎えのために廊下のドアを開けると、風が吹き込んで、私を包んでから部屋に入ってゆく。


「せっかちなんだから」


 淹れたてのお茶を持って仏壇へと備えて微笑むと、見慣れた顔がいつもより微笑んでいた。

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