第19話

私の作品を読む人なんていないんだ。誰一人として感想くれないもん。応援も星もくれないもん。私の作品を読むに値しないと思って途中でページ閉じちゃうんだろ、変えちゃうんだろ。最初から最後まで読むこと無しにトライ・ゴティックのチャプター1つだけ読んで「つまらん」の一言で片付けてるんだろ。君らは自分の小説がより多くの人に読んでもらえるにはどうすればいいかしか考えてないからそんなことができるんだ。私、良いと思った作品にはレビュー送ってますじゃんね。その創作を続けてほしいとかさ。感想をくれよ感想を。たった2週間で書き上げた第1章と第2章の解読がそこまで難しいわけないじゃん。作品の全部は理解できなくても君らにおっ。と思わせることはあるはずじゃん。無いってことだよな感想が来ないってのは。寂しい。孤独だ。私の小説に文学的価値なんてないから誰も見向きもしてくれないんだぜ。っていう考え方しかできなくなっていく。もういいよ。どうせコンテストに応募した詩が何かしらに入賞しなかったら私は消えるんだからね。そしたら今まで書いた文章は全部消して、アカウントも消して、バイバイだからね。私がTwitterで私の作品を読んでくれない無能なフォロワーたちを500人近く削除してきたように。pixivのプレミアムを解約して今後あのサイトでは更新をしないと決めたように。審査結果が分かるまでは今まで通り創作活動を続けるけど、入賞してなかったら私の思う文学のあるべき姿はカクヨム的な、ウェブ小説的な価値観にはそぐわないってことだから。私の頭が見ている世界を皆様に共有することはできないんだ。私の頭は出来が違うんだ。見えている世界が人と違うから分かってもらえないし分かり合えないし、孤独から脱却できないんだっていう絶望を、今日、講義でやったプレゼンで実感した。担当の教授は笑ってたんだけど、学生はポカンとしてた。村上春樹のデレク・ハートフィールドというでっちあげをした理由についてのプレゼンは、彼らには高度すぎたんだ。情報量が統制しきれなかった。パワポは1週間前に数分で、スクリプトはプレゼン直前の300秒くらいで作った発表だのに、私の常識が一般学生とは駆け離れすぎていて、聴衆層を見誤った私の話の下手さが露呈しているのだ。もう、大嫌いだ。自分はトラブルシューティングで散々、読者にとって読みやすい、しかしながら読みにくさもある(隠された意味を掴むためには読み返したりグローサリーを自分でつくってみる必要があるくらい)小説を書けと自分で言ってきたのに。プレゼンは小説とは全然違うよ。聴衆は私の言葉を反復できないし、私のプレゼンは一方向に流れていくし、彼らが一定時間の内に受け取れる情報には限度がある。発表を終えた後で、私の発表に対してどんな感想を書けば良いのか分からないという声が聞こえてきて嬉しくもあり、彼らの頭の悪さへの憐れみもあり、自分のプレゼン下手さを呪い、自分の孤独さを悟って悲しくなり、今に至る。今の私に効く唯一の慰みは、この文章を読んでくれた諸君が私の文章に対して感想を送ってくれることのみである。粗末な内容でも構わない。粗末な内容の感想にはお粗末な返事を返すだけだから。それはそれとして、私の作品と向き合ってくれて、私に言葉を届けてくれたことは、きっと私にとって嬉しいことだ。孤独感が薄まるものだ。君らの小説が更なる素晴らしい作品へと成長するヒントを与えられることを誉れに思っている。しかし感想の言葉がないということは、私の文学作品には参考にするべきポイントなどない陳腐で取るに足らないつまらない作品なんだろうと思ってしまう。なぜなら私は、読んでみて語り価値のない感想を送る価値のないと思った作品には何も付けない性分だからだ。あなたが感想機能をそういう認識で見ているかどうかは関係がない。私はそう捉えているということだ。2024年6月4日の朝6時までに1通の感想も来なかったら私は死ぬ。小説を書くことは私の人生そのものになりつつある。人生が否定されたら人は死ぬ。そういうことだ。

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