救出劇は成功した

 りゅうじんけいがいしゃの社長ていにて、最終点呼が行われる。

 おんの救出にけたメンバーは、総員無事。だれひととして欠けることもなく、おんを連れ帰ってきた。

 おんについては、残念ながら体のすいじゃくが激しく、当面の間はりょうようばいようそうから出られそうにないが、かと言ってあのままとらわれ続けていたら、すいじゃくがより一層進行していただろうことは想像にかたくない。今後のりょうようについて、朝以降に検討することとなった。

「全員無事で、何よりだ」

 かたの力をきながら、耀かぐねぎらう。

「夜もおそいし、いったん解散して、ようじゃないか。細かい後始末など、後からでも良いだろう」

 その言葉にいっぱん社員たちはおのおの去って行く。会議室に残ったのは、耀かぐ以外ではからくりの三人とふうせいといったかおみのめん、そして、救出されたおんのみとなった。

おんはどこに居てもらおうか。おんと同じ客間で問題ないか?」

 きょうだいで積もる話もあるだろうし、と耀かぐづかう。

「そうだね、それが良いんじゃないかな」

 おんが答える前にあまが軽い調子で言い放ち、何か言いたげであったおんも結局、ためう様子はかくせていなかったが、うなずいた。

「それにしても、長いようで、短かったねえ! 絶対に無理だと思っていたのに、こんなにあっさりおんを助け出せて、本当にりゅうじんけいがいしゃ様々だよ」

「あ、ああ。みなには、感謝している」

 感無量のあまに続き、いままどいつつもおんが礼を述べる。

「私からも、ありがとうございます」

 のんも深々と頭を下げ、おんりょうようばいようそうからは通知音と共に、モニターに文字が映し出された。

『みんな、ありがとう』

 そうごうくずしつつ、耀かぐは応えた。

「どういたしまして」

 それは、それまでもちまたあふれがちであった、たった一つの事件にたんを発した、大きなそうどうくくりの言葉でもあった。

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