次の日の朝、徹は早めにオフィスに到着した。まだ静まり返っているオフィスで、一人黙々と前日の復習をする。すると、山田が現れて驚いた様子で声をかけた。

「おはよう、高橋君。早いね。」

「おはようございます。少しでも早く成長したいと思って。」

山田は満足げに頷き、彼に新しい案件を渡した。

「今日はこの企業の税務申告の準備を手伝ってもらう。少し難しいかもしれないが、君ならできると思う。」

その案件は、これまでの業務よりも複雑で、多くのデータを正確に処理しなければならなかった。徹は緊張しながらも、自分の力を信じて取り組み始めた。

しかし、初めての税務申告の準備は想像以上に難しかった。データの入力ミスや計算ミスが発覚し、徹は何度もやり直しを余儀なくされた。焦りとプレッシャーで心が揺れる中、山田がそっと声をかけてきた。

「ミスを恐れるな。大事なのは、そのミスから何を学ぶかだ。」

山田の言葉に、徹は少し落ち着きを取り戻した。そして、一つ一つのミスを見直し、丁寧に修正していった。彼の努力は次第に実を結び、最終的には正確なデータを作り上げることができた。

その日の夕方、山田が徹のデスクにやって来た。

「よく頑張ったな、高橋君。今日の仕事、君のおかげで無事に終わったよ。」

「ありがとうございます。でも、まだまだミスが多くて…」

「誰でも最初はそうだ。大事なのは、そのミスからどう成長するかだよ。君は確実に成長している。」

山田の言葉に、徹は少し自信を取り戻した。彼の中で、山田への信頼と尊敬の念が一層深まったのだった。

その夜、徹と同期の佐藤真奈美が一緒に夕食を取ることになった。近くの居酒屋で、二人はビールを片手に今日の出来事を語り合った。

「高橋さん、今日は本当に大変だったね。でも、見ていてすごく頑張ってた。」

「ありがとう、佐藤さん。君も今日は忙しかったみたいだね。」

「うん、でもお互いに頑張ってるから、励まされるよ。」

二人は共に苦労を分かち合いながら、少しずつ仲間としての絆を深めていった。徹は、仕事の辛さだけでなく、それを乗り越える楽しさも感じ始めていた。

数週間が過ぎ、徹は少しずつ仕事に慣れてきた。山田の指導の下で多くのことを学び、自分自身の成長を実感していた。彼の努力は評価され、少しずつ重要な案件も任されるようになってきた。

ある日、所長の鈴木が彼の元にやって来た。

「高橋君、君の努力は素晴らしい。これからも期待しているよ。」

その言葉に、徹は大きな喜びを感じた。自分の努力が認められたことに、彼は自信を持つようになった。そして、自分の未来について、より明確な目標を抱くようになった。

「これからも一層頑張ります。ありがとうございます。」

徹は深く一礼し、再びデスクに向かった。彼の心には新たな決意が宿っていた。

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