海純 1
私は恋愛というものがよく分かっていなかった。
初めて告白されたのは小学生5年生の頃だった。
「好きです!僕と付き合ってください!」
そう言ったのはクラスメイトの子だった。この子とはそんなに仲が良かったわけでもない。なのに私に告白してきた。
「…えっと、私たちってそんなに仲良かったっけ?」
彼を傷つけたかったわけじゃない。ただ本当に何故私の事を好きなのかが分からなかった。だから純粋な気持ちでそう言った。
すると彼は目に涙を浮かべ走り去ってしまった。何故泣いていたのかは分からなかった。ただ私が彼を傷つけてしまったことは分かった。その時はそんな曖昧な認識でしかなかった。
中学生でも私は告白された。この頃から私に告白する人が増えてきた。相変わらず私は恋愛がなんなのか明確な答えを持ち合わせていなかった。
私は告白してきてくれた人たちを全員振った。なんで告白するの?好きになったら絶対に付き合わないといけないの?そのままの関係でいたらダメなの?
私は悩んだ。私に振られると毎回皆悲しそうな顔をする。その顔を見てしまうと私まで苦しくなる。私のせいで苦しんでいる人がいる。私のせいでその人の顔が暗くなる。
もう私に告白しないで。
そう強く願った。でも現実はその通りにいかなかった。日を重ねるごとに私に好意を抱いて告白する人は増えた。その度私はその人たちを振る。
そんなことをしていると徐々に振られた人たちの顔を見てもあまり心が痛まなくなってきた。
そのことに私は恐怖を抱いた。人を傷つけることに慣れてきてしまっている。私はそれに気づいてしまった。でもどうすることも出来なかった。
次第に私は告白してきた人を振ることに申し訳なさを感じはするが仕方ないと割り切るようになってしまった。
告白してくるってことは振られる可能性も考えてるよね?
私はそう考えて過ごすようになった。
高校でも私に告白してくる人は後を絶たなかった。その度私は振る。時には学校で一番イケメンだと言われる人に告白された。時にはサッカー部のエース。時にはお金持ちの御曹司。でもその誰もに告白されても結局私は付き合うということの意味が分からないままだった。
私と仲良くなった人は皆私に告白してくる。それ自体が嫌なわけじゃない。告白されて振るとそれ以降の関係が悪くなってしまう。私はこれまで通り普通にしたい。そう思っているのにした側はそう思っていないらしい。距離を取られる。
でも私の幼馴染。蒼彼だけは違った。小さい頃からずっと一緒に育ってきた。一番仲のいい人は?と聞かれれば間違いなく蒼彼と答える。
蒼彼は私に告白してこない。ずっと私といてくれる。それがとても嬉しかった。蒼彼と関係が悪くなるなんて絶対に嫌だ。蒼彼といる時間が好き。私が一番私らしくいられる時間だから。
でもその日は突然訪れた。
あとがき
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