第48話 オッサン齢53歳にしてからまれる。

 スカラベを倒した後に受付に戻ってから笹かまにことの顛末を話しておいた。


「わかったっすー、あいつらにポーション売りつけておくっす」


「あれ?俺が嘘言ってるとかそういう真偽を確かめる的な話はないのか?」


「あー、こっそり裏でしめようかなって思ってたんでー審議とかいいっす」


「そ、そうなんだ」

 笹かまって完全に考え方が現場よりだよな。


「それより、募集5分で応募埋まったんすけど、なんか変なの混じってきて、ちょっとメンドイかもっす」


「えー、今より面倒な事になるのー」

 心の底からうんざりなんだけど。


「周辺の支部から募集かけてもらってるんで、うちで選ぶって出来ないんすよね、そこの支部が大丈夫って言ったら大丈夫って事になるんすよ」

 それであの騒動だからなぁ。


「で、どんなのなんだ?」


「パーソナルクラスは意馬人、レベルは25っすね

 このレベルならわざわざこんな依頼受けなくてもやっていけるはずっす。」


「借金あるから依頼受けるの強制されたとかは?」


「あり得ないっすね、協会も使い物にならない奴らをかろうじて使えるようにするのにウチの依頼利用してるっすから、逆に1回断られてると思うっすよ」


「今回が3度目の募集だから、断りきれなかったみたいな感じで入ってきたって事か?」


「だと思うんすけど、例の解雇組に応援頼まれたって可能性もあるんすよねぇ、意馬人って職業なんすけど、スキル的にはバーサーカーみたいな奴で戦闘にはそんな困って無いはずなんすよ」


「…25レベルあるなら俺も勝てないかもしれないな」


「ん?寝言は寝て言えっすよ、単純に計算して剣崎さんはステータス上がるたびに人の倍防御力上がってるんすよ、格上がガチでスキル使わないとまともにダメージ喰らわないっすよ」


「ティラノサウルスはかなりダメージよこすぞ」


「下層のボスキャラ相手に回復要らないって相当頭おかしいっすからね!

 解雇組が下に行った事ないから分かってないだけで、奴らのレベルならどういう状況でも剣崎さんが負けるってシチュはあり得ないっすよ」


「そうなのか?」


「剣崎さんは自分を過小評価しすぎてなんすって、あのババァに2億払え言われた時もいけるだろうなって思ってたから何も言わなかったんすもの」


「えーそれは流石に怪しいなぁ」


「いや、マジですって!じゃきゃ数日でこんな準備出来ないっすから」


「まーそういう事にしておくか、じゃ今日は帰るよ」

 そう言って帰宅した。


 ー翌朝ー

 約束通り、解雇組は全員居なくなっており、第2陣の辞めたメンバーも5人ほど居なくなっていた。

 そして居残った7人が再雇用をお願いしてきていた。


「どうするっす?次辞めたら罰金1000万で再雇用しておくっすか?

 また誰か居なくなった時用の予備人員くらいには使えるっすよ」


「じゃあ、そうしておこうかな」

 いちいち頓挫するのも精神的に疲れるしな、余裕あった方が良い気がする。

 流石に1000万もの大金払ってまで契約解除しないだろうし。


「おう!お前か?大畑が言ってた碌でもねぇ探索者ってぇのは」

 いきなり受付のプレハブに入って来たと思ったら、もの凄い勢いでガンつけられた。


 俺よりは若いが、30代後半くらいだろうか、無精髭の生えた汚い顔してる。


 なぜに、こんな中途半端なタイミングでラノベの主人公のテンプレみたいになってるだろう?


 色々分からないがとりあえず最大の疑問がある。

「大畑って誰?」


「お、お前!一緒に探索した仲間の名前も把握してねぇのか!」


「俺の仲間は千紗しか居ないが?」


「お前ぇ!一緒に探索したら仲間じゃねぇかぁ!」

 うわぁ、どこの少年誌だよ。


 殴り合ったら友達とか冗談じゃない。


「お前の言うところの仲間に嫌がらせされたり、殺されかけたりしたけどな」

 返り討ちにしたけどな。


「そ、それはお前がおかしな事したからだろうが!聞いてるぞ!随分酷い扱いしたらしいな!」


「ふーん、おかしな事したら殺して良いんだ、じゃあ、お前がおかしな事したら殺して良いんだな」


「そんな事言ってねぇじゃねぇか!」


「いや、俺が殺されかけたって言ったら、それはお前がおかしな事したからだって言ったろ?

 おかしな事したら殺されても仕方がないって事だよな。

 忘れるなよ、俺はお前がおかしな事したと思ったら殺すからな」


「は!オメェみたいなジジィがやれるのか?

 やれるもんならやってみろよ!」


「お前はティラノサウルスより強いのか?」


「な、な、な、なんだよそれ」


「まぁ、いいや」

 決めた、今日は引きずってでもこいつティラノサウルスのとこまで連れて行く。


 どこまでやれるのかみてやる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る