第42話 オッサン齢53歳にしてマンチキンになる 3
やっぱり、俺の戦闘スタイルとゴーレムはそうとう相性が良い。
ボスゴーレムも難なく撃破する。
そして、41階に侵入した。
このフロアは熱帯地域みたいな雰囲気だった。
湿度が高く、木が生い茂ってる。
川らしきものも見えている。
「あ、向こうにモンスター居ますね」
ゲートに向かうルートから少し離れるが、川の方向にモンスターがいるらしい。
「あー、これは多分当たりっすね」
「とりあえず、このフロアがどんなモンスターか確認しようか」
「そっすね」
そう言って笹かまがスタスタと川の方向に歩いて行った。
ザヴァーン!
大きな音がして川からとんでもないサイズのワニが出て来た。
あれブロック出来るのか?
「あー、ビッグフットクロコダイルっすね、スタンさせるんでトドメよろしくっす」
そう言うと、笹かまは事も投げにワニをスタンさせた。
慌てて近づいてトドメをさす。
「当たりだって分かったんで、少し無理してボスまでどうっすか?」
「俺は構わないが…」
そう言って、俺たちの後ろについて来ている、バイトのメンバーを見る。
バイトどころか、レベルが上がると言ってもタダ働きみたいなもんだ。
階を降りる毎に安全地帯も狭くなって行くし、危険度も上がって行く。
その緊張感もあって目に見えて疲労するスピードが上がって居る。
今も、経験値が入るにも関わらず5m以内まで近づいて来たものは居ない。
疲れているせいか、この瞬間を全員休憩にあてていた。
「あー、こっちの目標が達成しないとアイツらのレベリングも出来ないんで、早い分には文句言えないと思うんすよ」
「言われてみればそれもそうだが…」
正直、人を率いるみたいな行為には慣れていない。
どうにも、煮え切らない態度しか取れない。
「剣崎さんさえ良いなら、大丈夫っす。
おーい!予定変更してこのままボスまで行くっすよー」
「…」
誰も返事しない。
あからさまに嫌そうな顔をして居る人もチラホラ見える。
うーん、コミュニケーションを取るとか苦手だしなぁ。
思ったより稼げなさそうだから、下に降りてボスに当たる数を増やさないと間に合わないまであり得る。
返事は無いが文句も言われてないので、ここは嫌そうな顔には気づかなかったふりをしよう。
42階はデカいトカゲだった。
「あー、あれバジリスクっすね、近づくと石化されるっす」
「どうするんだ?」
「弱点属性氷なんで、逢真さんのブリッツジャベリンで一撃っすよ」
「ん?ジャベリンに氷なんて無いだろう?」
「何言ってんすか、混合魔法でアイスブリッツ覚えたじゃないっすか、普通にジャベリンで撃てるっすよ」
「え!そうなの!じゃあ、千紗頼めるかい?」
「はーい!」
千紗が遠投スキルを使って長距離からのブリッツジャベリンを打ち込む。
離れすぎていて経験値にならないが、石化はやられると回復が大変なので安全策で行くことにした。
「本当に一撃だな」
「そら、武芸百般っつーチート持ちっすからね!マジやべーっすよアレ」
43階は頭が2つある大蛇だ。
「ツインスネークって名前っすけど、一般的にはレッサーヒュドラっすね」
「なんで一般的な名前と正式名称の2つあるんだ?」
「そら、ヘビ倒したって言うより、ヒュドラ倒したって言った方がカッコいいからっすよ」
「…え!本当にそれだけの理由なのか?」
「そっすよ、探索者は見栄っ張り多いっすから」
「ところでアレもブロック出来る自信ないんだが」
「アレもジャベリンでいった方が良いっすね、ちょっと厄介なんで雷で痺れさせて氷でトドメが良いっす」
「だ、そうだ、千紗よろしく頼む」
っていうか、雷って痺れるんだ。
それすら知らなかった。
44階は亀だ。
「ダイヤモンドタートルっすね、動かない、硬い、なんで剣崎さんの担当っすね。
反射だけ気をつけるっす」
「アイテムの影響でほとんど0に近いから大丈夫だろう」
「あーそれもそっすね」
そして、45階。
「…いや、確かにアレも爬虫類だけどな…いくらなんでもアレは無いだろう」
俺は、はるか先に居るモンスターを指差した。
はるか先に居てもなんだかすぐに分かるシルエット。
“ティラノサウルス”だ。
「あーでも、当たりモンスターっすよ、レアドロップは2個出るんすけど、牙100万、肉100万す」
「みー、アレ魅了いけるか?」
「うん、大丈夫」
「やるしか無いかぁ」
俺はため息をつきながらボスのいる方向へと歩き出した。
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