むらぎもの心くるしも滾るべき思ひはあれど言にならねば

【読み】

むらぎものこころくるしもたぎるべきおもひはあれどことにならねば


【語釈】

むらぎもの(群肝の)――(古くは「むらきもの」)心は内臓の働きと考えていたところから「心」にかかる。

[精選版 日本国語大辞典]


たぎる(滾る/沸る)――(「たぎつ」と同語源)①川の水などが勢い激しく流れる。さかまく。② 湯などが煮えたつ。沸騰してわきかえる。③怒り・悲しみ・焦慮などの感情が激しくわきあがる。また、心がわきたつ。④ 他よりもすぐれる。

[精選版 日本国語大辞典]


【大意】

心がくるしいことである。湧き上がるべき思いはありながら言葉にならないから。


【付記】

わたしの思いが、言葉に乗ってひろい世界に飛び出すのをいまや遅しと待っているように思う。悲しいのは言葉を紡げないでいるみずからの無力である。


【例歌】

むらぎもの心楽しも春の日に鳥のむらがり遊ぶを見れば 良寛

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る