(三)-13
なんとか立ち上がろうとするつぐみは状況を冷静に見て「すぐに救急車を」と、誰かに言う。
楽屋の外では悲鳴を聞きつけて駆けつけたスタッフと男性が押し問答をしている声がしていた。
しかし、マキにはそんな声は聞こえない。重たい両手両足をようやく動かしてアンナに近づいた。
アンナは目をつぶったまま動かなかった。
マキはそんなアンナの前でしゃがむとアンナの肩を揺さぶった。
「アンナ、ねえ、アンナ、ちょっと!」
マキはアンナの体を何度も揺さぶったが返事がなかった。
(続く)
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