本からの贈り物〜葵の初恋〜

奏流こころ

はじめ

 誰もいない教室にいた私。

 ドキドキしている。

 誰か来たらどうしよう。

 見られたくはない。

 震える手足に落ち着けと念じる。

 私の手には1冊の本がある。

 それを今、とある人の席の机の中に本を入れた。

 ミッションは完遂した。

 私は肩にかけていた鞄の持ち手の紐を掴む。

 掴んだから精神的に安定する。

 私はダッシュで教室を出た。


 手紙を挟めた。読んでくれるかな。



 これは私の初恋の物語。

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