第10話
秋村は、自分が予想していたよりも、がっかりして帰ってきた。
期待していた女性に「怪しい」とされて会うこともできずブロックされたことが一番がっかりした理由だった。
そして狭いコミュニティで自分の悪い噂が広がってしまってはいないかと恐れていた。
2、3日経って日常生活に戻ったあと、秋山は作戦を変えることにした。
いわばロングボールからスモールボールへ作戦を変えることにしたのだった。
秋山はこれまで、何回も食事に出かけたのに、結局お付き合いできず悔しい思いをしたことが何度もあった。だから恋愛指南本で、ロングボールと名付けられた戦略を参考に、出会って3回以内の食事のうちに、交際を迫って、伸るか反るかを強制的に決めさせる作戦でいくと決めていた。
それはこれまでの苦い経験から、半ば強迫的にそう決めていた。
しかし今回、狭いコミュニティで悪い噂が広がってしまう恐れを強く感じ、また相手の社会的に立場が明らかに自分より低いのだから、3回以上のアポを重ねても、逃げられる恐れは、今までよりは低いだろうと考え直した。
それで交際を迫るのは、少なくとも3回目以降にすると作戦を変えることにした。
それは参考にした恋愛指南本でいうところの、スモールボールだった。
狭いコミュニティでない場合は、恐れずに1回目でアプローチしてもいいだろう。
けれど今回は作戦をスモールボールへ変えて、気長にいこう、と考え直したのだった。
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