第8話

「今度、僕の通っていた学校へ一緒に行ってみない?」

秋山は半ば本心からそう言った。


秋山が、心に引きずっている女性と一度復縁しかけたとき、彼女と秋山は二人で、彼女の通っていた学校へ遊びに行ったことがあった。

「とてもいいところだね」

「そんなことないよ。今度はあなたの通っていた学校に行ってみたいわ。」

彼女は笑顔でそう言っていたのだが、それが叶うことはなかった。

その前後の会話も思い出して、秋山は苦しい気持ちになるのだった。


以下、中学高校時代の思春期の思い出、同級生のその後の人生の歩みや違いについて思いを馳せる。


「今度はあなたの通っていた学校に行ってみたいな。」

秋山は、本音ではないけれど、言葉遊びのつもりで、微笑みながら彼女にそう言った。

(終)

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