d-7899第三宇宙「地球」人間の皆様、勇者選別デスゲームの始まりです 

@penpedenohana

プロローグ


「好きです!!付き合ってください」


 そういって、少し人気の少ない通学路。手を目の前の女性に向かって出し、頭を下げる男の姿。

 九条直哉。好きな人に告白をするという初めての試みでこの方法でしっかりと気持ちが伝わるかも疑問を持ちつつも後悔のないように挑戦する。


「えっと、私も一緒にいて楽しいと思っていたけど、ごめんね。そういう目では見れなかった......」


 純粋で無垢な心に突き付けられたのは優しく包まれた拒否の意思だった。

 正直、直哉もなんとなく降られるのではないかと予想してはいた。だが、告白をしないわけにもいかなく。



「はぁ、最悪だ。これからどう接しよう......」

 

 告白したその夜。風呂の浴槽の中、そんなことを考えていた。

 「これからも仲良くしてね」と言われたとて、前と変わらずに接する事なんてできないだろう。


 湯ぶねから起き上がり、シャワーの蛇口をひねると水が出て来る。

 洗剤のボトルから泡を出して、体や髪に押し当てて体を洗っていく。

 

 最後に手を洗って風呂から出ようとした瞬間。脳内に直接語りかけて来る機会音声的な声が聞こえる。


 『d-7899第三宇宙「地球」人間の皆様、勇者選別審査の始まりです』


 気のせいな訳がないので、振られて頭がおかしくなったのか、と言うことで今の声を落ち着かせて地面に置かれている石鹸を取ってしっかりと泡立たせる。


 何気なく瞬きをした瞬間。次の瞬間には真っ白な空間に飛ばされた。その空間と対をなすような何千人という人の数。その人たちは同じ方向を見ている。

 直哉も同じように見ると、真っ白な空間に溶け込むような巨大な液晶モニター。


「は、え?は?」


 意味が分からない。

 いつの間にか服も着せられているし、これがよくラノベにある異世界転生なのか?


 脳の処理が追い付かないまま、モニターの方からピロンッと音がする。視線を向けると、モニターには普通のフォントでこう書かれていた。


『最初の敵はじゃんけん。私はグーを出します』

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