番外編『もふもふで始めるVRMMO生活』

ゆるり

限定SSより公開

もふもふ同好会

限定SS(24.05)

******

 今日も元気にゲームを楽しむぞー!


 ということで、向かうのは西の港です。まずは釣りからスタート。スラリンと一緒に大漁を目指すよ。


 テクテクと歩いていたら、なんだか視線を感じた。

 チラッと振り向くと、談笑してる三人の女の子がいる。僕のことは見てない。


 ……うーん、気のせい、かな?


 実は、こういうことはよくある。

 僕は見た目からして珍しいし、視線を集めちゃうのはしかたない。


 でも、そういう物珍しさで見てくる人って、僕が振り返っても観察を続けるタイプが多いんだよね。


「ちょっと、気にしすぎてたか。——あ、美味しそうなにおい!」


 港に向かう途中にある市場に惹かれた。この魅力に逆らえたことは少ない。


「……空腹度対策だし。うん、食べるのはおかしくない」


 なぜか言い聞かせるように呟きながら、にぎわっている屋台に並ぶ。

 こういう人気店はハズレがないよね。なにを食べれるのかなー?


 二つ前に並んでた女の子が、一瞬振り向いた。僕を見て目を丸くした後、顔を背ける。

 でも、チラチラと何度も見てくるから、嫌がってるわけじゃなさそう。というか、にこにこしてる?


 ちょっと手を振ってみたら、ぱぁっと表情が輝いた。

 僕は愛嬌を振りまくのに躊躇いはないぞ。好きに愛でてください。


 列が進んで、僕の番が来たら、店主さんが「あぁ……」って頷いた。なにを納得されたんだろう?


「白身魚フライバーガーか、照り焼き跳兎ジャンプラビ肉バーガー、どっちにするかい?」

「どっちも美味しそうだけど……お肉にする!」


 今日は大漁の予定なので。白身魚フライバーガーは自分でも作れそうだし。


「ほらよ。あ、金はもうもらってる」

「えっ?」


 支払いをしようとしたら、断られた。どういうこと?


「あんたの二つ前に買ってくれたお嬢さんが、先に払ってたんだ。あんた、モテるねぇ」


 揶揄うように教えられた。

 二つ前って、あのにこにこしてた女の子?


 まさか「あちらのお客様からです」をしてもらうことがあるとは、びっくり。

 バーじゃなくて、屋台ってところがなんだかウケるけど。


「また会ったら、お礼言おうっと」


 屋台からちょっと離れたところで、照り焼き跳兎ジャンプラビ肉バーガーにかぶりつく。甘めのタレがうまうま。マヨネーズソースもいい感じ。

 当たりの屋台だったな。人気店なのが納得できる。


 相変わらず時々視線を感じるけど、嫌な感じはしないから、スルーして港へ行こう。


「今日はなにが釣れるかな~♪」



* * *


〈談笑してる女の子〉


「ねぇ、あれ、希少種さんだよっ」

「ほんとだ! 今日も、もふもふ可愛いー」

「ちっちゃい羽も可愛いよねー」

「あっ」


 振り返ってきた希少種さんから目を逸らす。素知らぬフリも慣れたもの。

 あんまり見てたら、嫌がられちゃうかもしれないから。


「——行っちゃった」

「後ろ姿も可愛いー!」

「ぽてぽて、って感じの歩き方だよねー」


 きゃあきゃあ話しながら、掲示板に書き込むのが日常です。


* * *


〈屋台に並ぶ女の子〉


「ぁ……」


 思わず声が漏れた。

 どこかから「あれ、希少種選んだプレイヤーじゃん」って声が聞こえて振り向いたら、希少種さんがいたんだ。


 つぶらな瞳をキラキラ輝かせて、期待を示すように体を揺らしてる。

 ご飯食べるのが大好きって噂は本当みたい。可愛いなぁ。


 つい頬が緩んじゃう。可愛いものが大好きなんです。


「きゃっ……」


 希少種さんがフリフリ、と手を振ってくれた。

 バレちゃったのが申し訳ないのと同時に、受け入れてもらえた感じがして嬉しい。


 小さく手を振り返したら、さらに両手を振ってくれた。可愛すぎるんですけど!


「……お嬢さん、注文は?」


 先頭に来ちゃってた。


「あ、えっと、白身魚フライの方を一つ」

「はいよ」

「……そ、それと、後ろに並んでるウサギ系モンスの種族の人に、おごりたいんですけど」

「は?」


 不思議そうな顔をされたけど、二つ分の代金を払っておく。

 ファンサービスしてもらったのに、お返しがこれだけなのは安すぎるだろう。でも、ちょっとだけでも喜んでもらえたらいいな。


「では、お願いしますね」

「いいけどよ……」


 バーガーを持って退散。

 去り際に希少種さんを見たら、また可愛くお手振りしてもらっちゃった。


 ふふふ、今日は楽しい一日になりそう!


* * *

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