第4話 1stダンジョン Ⅲ

 触れると面倒だけど。

 迂回するのも時間が惜しいからこのまま進もうかな。


(うん。正面突破しよう)


:またスルーww

:どんだけスルーすんだよw

:一度も戦闘してねぇww

:ひょっとしてLV1のまま進む縛りプレイでもしてる?

遺物キューブ拾ってないから戦えないんでしょ

:自信満々で草生えるw


 なんとか敵と接触せずに十字路を通過。

 その左折した先に。


(おっ。ブルーキューブだ)


 積極的にキューブを探しに行くことはないけど。

 目の前に落ちてるのなら、拾わない理由はない。

 

 その場でしゃがんで拾う。

 基本的にキューブは、手のひらに収まるサイズだ。

 

(カテゴリーは武器ウェポンだね)


 描かれた図柄からそれを確認。

 そこでふと思い出す。

 

 そういえば、今日の配信は大勢のリスナーさんが見てくれてるんだっけ?


 このあたりで一度確認しておこうかな。


 ボディコンソールを亜空間から呼び出す。


(えっ)


 そこに表示された同接数を見て思わず目を疑った。


 91人!

 なんかめちゃくちゃ増えてるよ!?


 しかも、ものすごいコメントの量だ。


「皆さんすみません。コメントぜんぜん拾えなくて」

 

:やっと見たw

:べつにええで

:気にするな

:しゃべってください~

:なんか拾った?

:今のところけっこう面白いw


「えっと・・・ブルーキューブを拾いました。カテゴリーはウェポンの[剣]みたいです」


 キューブはまだ解放してない。

 はじめてのことだったからあまり気にしてなかったけど。

 

 たぶんリスナーさんとコミュニケーション取りながら配信した方がいいはず。


「今から解放したいと思います」


:いいね

:青だから期待できない

白纓はくえいバルムンク来い!

:なにが出るかな?

:ダメそう


「虚無の奥底より響く幾何学の鎖を解き放ち、真実の輝きを我に宿せ――レリーズ」


 ブアッ!


 光とともにキューブが解放される。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る