050 侯爵様に丸投げしようよ

 赤いプレートを見た責任者の顔色が、あきらかに変わった。


紅丸

「ここにいらっしゃる御方おかたは、モンテマニー侯爵こうしゃく任命にんめいされた監察官かんさつかんのルナ様だ。」


黄庵

「ここは、モンテマニー侯爵の領内りょうないということは忘れていないな!」


青兵衛

「その顔色かおいろは、理解りかいしたようですね。

 では、エメラルドドラゴンさんたちの休みを完全週休2日制プラス祝日しゅくじつも休みにしてくれますか?」


責任者

「わ、わかった。

 このことは、侯爵様には、御内密ごないみつに願いたい。」


ルナ

無理むりだよ。

 根掘ねほ葉掘はほり聞かれるから、答えるしかないよ。」


責任者

「では、休みの件はけるわけには行かない。」


青兵衛

「それは、そんしますよ。」


責任者

「どういう意味だ。」


青兵衛

「休みの件を改善かいぜんしてくれたら、わたしたちからも侯爵様に、

   「まあ、まあ、まあ。」

りなす理由りゆうができます。


 しかし、拒否きょひされた場合は、侯爵様の判断が100%になりますよ。


 ねえ、ルナ様。」


ルナ

「そうだね。

 もう面倒めんどうくさくなっちゃった。


 ぜーんぶ、侯爵様に丸投まるなげしようよ。


 どれくらいの損害賠償そんがいばいしょう慰謝料いしゃりょう請求せいきゅうするかも含めてさ。」


青兵衛

「たしかに、侯爵様がお考えになる金額は分かりませんからね。


 責任者殿、差し出がましいことをしました。


 申し訳ありません。」


黄庵

「紅丸さん、エスコートしてあげて!」


紅丸

「ルナ様?」


ルナ

「黄庵は、上品な言葉を使うよね。


 でも、ボクが好きな表現はさ、

 「ひったてい!」

だね。」


紅丸

「はっ、ルナ様。」


 紅丸は、責任者を後ろ手にしばってくれた。


ルナ

「係員さんたち、責任者さんが留守の間、どうしますか?」


係員A

「みんな疲れ切っていますので、このイベント会場は休園きゅうえんしようと思いますが、いかがでしょうか?」


ルナ

「青兵衛?

 商売を考えると、どうすればいいのだろう。」


青兵衛

「ルナ様が命令めいれいすることは、侯爵様の面子メンツに良くないかもしれませんね。


 だから、従業員の方々は全員がショックで病欠びょうけつしてしまった。

 という建前たてまえが大事だと思います。


 エメラルドドラゴンさんは、目をまさないことにしましょう。


 これだけ、そろえれば、大義名分たいぎめいぶんは立つでしょう。」


ルナ

「とてもあんだね。


 係員さんは、どう思いますか?」


係員B

「ぜひ、その方向で、進めさせてください。」


 さわぎを聞きつけて、ほかの係員たちも集まってきていたので、同じ話をする手間てまはぶけた。


係員たち

「やったー、ひさびさの休みだ。

 寝て終わりの休日から解放かいほうされる~!」


ルナ

「あのね、ねんすけれど、ボクには命令めいれいする権限けんげんいからね。

 みなさんが相談そうだんした結果けっかにしておいてね。」


係員たち

「はーい。」


ルナ

「ありがとう。

 じゃあ、責任者さん、モンテマニー侯爵の屋敷に連れて行ってあげるね。」


 責任者さんは元気が無かった。


 ボクたちは、モンテマニー侯爵様の屋敷に行くことにした。


青兵衛

「ルナ様、モンテマニー侯爵とメクバール執事しつじに、おみやげを買って行きましょう。」


ルナ

「さすが、青兵衛。

 くね。


 じゃあ、ろんろんきを買って行こうか?


 あれなら、お屋敷やしきのみなさん全員の分も買えるよね。」


紅丸

「あまいものは、お好きだろうか?」


黄庵

「あの体形たいけいだから、大好きでしょ。」


ルナ

「久し振りに、侯爵様のグレープジュースを飲みたくなったよ。」


☆ 033 青紫の商才12モンテマニー公爵は良いひとだった 参照



 ボクたちの家と店がある町に帰ってきた。


 気が付けば、家を出てから、7日くらいがぎていた。


 みちの話は、外伝がいでんで話すかもしれない・・・

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