BLACK

「ねー。ホントに帰らないの~?」


「帰らないんじゃなくて帰れないんだよ。お前のせいで。」


「帰ろーよ。意外と皆優しいよ?」


「何が分かるんだよ?お前に?」


「大体アニメでは優しいからね。」


「アニメ見んのかよ。てかアニメは創作物だから。現実とは遠く離れてるんだよ。」


吸血鬼がアニメを見るな。人間かぶれしとるな。


「てかお前が来ることでメリットあるのか?」


「アリアリだよ!まず友達を作れる。」


「いらないな。」


「あと吸血鬼が出てもすぐ退治出来る!」


「目立ちたくないんだが。」


「目立たないところで退治するよ!」


「退治してるとこ見られたりしたら。」


「そんなことはないよ!」


「思いっきりフラグ建てたな。」


「フラグ?」


そのフラグが回収されないか見物だわ。


「ともかく安心安全に私がいれば学校生活が過ごせる訳!分かる?」


「あっそ…………うん?電話………ゲッ…」


「げ?」


苦い顔の凪。ワンコール置いて電話に出る。


「もしもし………」


「何でワンコール出なかったん?」


「急やったから………」


「あっそ。」


「で、何よ?」


「話したいことがあるから今何処にいんの?」


「え~と、家。」


「屋上な。もう分かってんねん。アンタのパターンは。」


「今はやめよ。」


「なんなん?見られたらアカンモンでもあんの?」


「まぁ………」


「じゃあすぐ行くわ。」


「ちょ、待て………ヤバイ。レイナ。逃げるぞ………」


その言葉も虚しく。


「来ちゃった。」


彼女はやってきた。

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